山口拓 東京都議会議員:コロナ感染経験者としてコロナ最前線の政策をしっかり実行。都財政立て直しへ政策の取り組み直しを〈都議選2021〉

(撮影・堀田真央人)

議会は適正に開かれるべき

 都の財政については確かに待ったなしですね。

「例えば、補正予算が組まれる時、都知事は専決処分といって、議会を通さずに決定をしてきています。これは本来は議会を開かなければならないものです。他県も全部臨時議会を開いてやっています。そういった議論の場をしっかり設けるのは本来は与党。都議会でいえば、知事与党である都民ファーストさんがやるべきであり、そういったことを避けてきていることに大きな問題があると思っています。まあ、新型コロナについては、初めて対策することでありますから批判ありきではありませんが、1年以上が経った今、やるべきことはしっかりやらないと都民は納得しないと思います」

 批判は批判で当然すべきですが、新型コロナについてはある程度は足並みをそろえることも必要?

「都民の命を守る政策、スピード感のある対策はやはりあります。医療の問題は解決しなければいけませんし、医療従事者の待遇の改善、ワクチン接種の問題などスピード感の必要なものはたくさんあります。でもそういったことも1日で決められますから、やはり臨時議会を開かない理由にはなりません。議会は適正に行政をチェックするところですから、やはり適正に開かれるべきだと思います。命を守る、暮らしを守る政策については全ての会派が共通の認識を持っていると思うので、スピード感を持ってみんなで進めていくべきだと思っています。しかし正しいチェック機関として、是々非々で“これは間違っている”ということについてはもっと議論をしていかなければいけない。

 例えば協力金ですが、今、自粛を要請されている事業者の皆様がいますが、飲食店はお酒も出せない状況になっている。しかしその協力金の給付が全く遅れてしまっている。こういう部分については詰めなければいけない。東京都はIT化を押し進めてきました。知事もできるといった。だけど実際には振り込まれていない。給付が遅れている。しかも協力金はすでに9回もやっています。初めてのことではない。是正をされていかなければいけないのに、どんどん遅れている。こういうことは大きな問題です。これについては私たちは追及しております。やはり詰めるべきところは是々非々で、非の部分はしっかり詰めなければいけないと思っています」

 新型コロナ以外の都政の問題は?

「やはり命を守る、暮らしを守るという観点から考えていきますと、これから梅雨にも入りますし、集中豪雨や災害も大きな問題となります。コロナも一つの災害と考えると、ひとたび風水害や震災が起こると複合災害になります。避難所というと体育館のようなところにみんなが避難してくるイメージだと思うのですが、それだと“密”の状況になってしまいます。なので、避難の仕方、避難所の在り方、物資の供給の仕方などすべてを見直さないといけない時期にある。災害対策は待ったなしになっている」

 新型コロナ禍の中、特にですね。

「命に直結する問題ですので、感染拡大防止に努めた新しい避難の在り方を議論しなければなりません。在宅避難という言葉があります。在宅と避難で矛盾するんですが、安全な場所で避難をしていただく。そこでのトイレの対策をどうするか、物資の供給をどうするかとか、これまでと全く違った避難所の在り方、避難の仕方を東京都は早急に検討しなければいけない。すべての計画を見直す時期だと考えています」

 災害が起きず、空振りに終わるかもしれないが、今回のコロナ禍を鑑みると「備え」は必要ですね。

「私も昨年、熊本で水害が起こった時に、1週間後には現地に入りましたが、やはり避難所でクラスターが発生している状況を目の当たりにしました。このままではやはりダメで、これをどう防ぐのか。例えば体育館の中をしっかりテントで個別にわけていくとか。あとは大規模なショッピングセンターの駐車場を使って、車で24時間は避難をしてもらうとか。これまでとは全く違った発想で、民間を活用したりというふうに視点を変えていけば、まだまだ検討できる課題はあると思っています。市区町村にはどんどん提案をして取り組んでもらっています。こういうものをどんどん実践していけば大丈夫だと思っています」