乙武氏「分身ロボットカフェ」開業に大学時代のバイト秘話明かす「障害者って仕事するの難しい」

株式会社オリィ研究所の吉藤オリィ共同創設者代表取締役所長

 分身ロボット「OriHime」の開発・提供を手がける株式会社オリィ研究所の吉藤オリィ共同創設者代表取締役所長は、2015年から2017年に亡くなるまで自宅のある岩手県盛岡市から遠隔で分身ロボットを操作し、寝たきりの状態で同社の秘書を務めた番田雄太氏を紹介。番田氏は4歳で交通事故によって頸椎損傷し、首から下を動かすことができなかったという。

「彼がOriHimeを使っても難しかったことのひとつが働くこと。出会いと発見がないことが、障害者で外出困難であることの一番のハンディキャップだと言っていました。私たちがまったく社会に出たことがないとして、人生の一番始めのステップをテレワークでできるかというと難しく、誰かのアシスタントや接客業かもしれない。身体を運んで肉体労働することをテレワークで行えないかと、番田雄太と一緒に考えたのが分身ロボットカフェという構想です」

 病気や社会情勢、老齢で寝たきりになるなど、人は生きている限りいつか外出困難になると吉藤氏は指摘。「我々はロボットやカフェを作りたいわけではなく、移動困難になったとしても、もう一度働きたくなる場所など選択肢を持つことができる。それは全人類に当てはまることだと思います」として、さまざまな分断が起こっている社会において、分身ロボットなどを用いることによって脱分断を目指したいと意気込みを語った。

 今回の「分身ロボットカフェDAWN ver.β」では、バラエティ豊かなパイロットが50名参加。パイロットを代表し、ふーちゃんこと三好史子さんが「分身ロボットカフェに出会うまで自分に接客ができるなんて一度も考えたことがなかった。カフェで働くようになって人とのつながりが格段に増え、自分にはできないことはないと思えるようになりました」と挨拶した。

「分身ロボットカフェDAWN ver.β」はOriHimeパイロットとの会話とオリジナルフードやスイーツ、ドリンクが楽しめるAエリア「オリヒメ・ダイナー」、バリスタのOriHimeパイロットが淹れたコーヒーを提供するBエリア「バー&テレバリスタ」、パーソナライズドカフェ「TAILORED CAFE」のスペシャルティコーヒーや軽食が楽しめるCエリア「カフェラウンジ」で構成。株式会社カンカクとの共同運営で、今回から完全キャッシュレス決済も導入する。Aエリアはフードまたはスイーツプレート・ワンドリンク付き、約75分入れ替え制、2500円(税込)。Aエリアへの入場は前日の17時までに予約専用ページにて要予約。