栄一、渡仏!パリでもおかしれぇ精神が発動『青天を衝け』パリ編スタート

 

 昨年10月末にフランスで1日当たりの新規感染者数が5万人を超え、11月いっぱいのロックダウンが決定し「パリに行かないでパリ編を作る決断をしました」。そこから、できることとできないこと、ロケを行わないとできないこと、VFXならできるやり方を考えたという。「篤太夫がパリで絶対やることはありますから、大森(美香)さんのプロットから、VFXでこういう場所でこういう芝居なら作れると提示して、先にVFXを作り出しました」

 最先端のテクノロジーと熟練した技術の合わせ技でパリ万博当時のパリを描き出す。

 グーグルのストリートビューとフランスのプロダクションと組んでロケハンをしたり、精密な絵コンテを作って撮影を行い、最終的に合成している。例えば、謁見のシーンでは昭武たちは日本で撮影、背景や昭武以外の俳優たちは現地で撮影している。そのため、装束を付けた昭武がどのくらいのスピードで歩くのかも共有して、フランスでは代わりの人間が代わりに歩いて…といった作業を重ねているという。

「役者さんに自由に芝居していただいてこそで、VFXばかりに目が行くのはいけない。例えば、エレベーターのシーンがあるのですが、そこはセットを作って撮影しています。そういうシーンをいれることでリアリティを上げていきました。万博のシーンは完全VFXですが、謁見シーンは向こうで撮ったものとこっちで撮ったものを合わせる、エレベーターのシーンはセットでその周辺をVFXでうめる。VFXの使い方でもグラデーションがあります」

 現地に行けない俳優たちには絵コンテやCGで仕上がりのイメージを共有したり、当時の写真を大きく伸ばして張ったりと「用意できるものは用意してプレゼンテーションした」という。昭武を演じる板垣は以前のインタビューで、グリーンバックでの撮影の難しさについて語っている。

「役者さんは相手とのお芝居で自分のお芝居をしていくと思うので、相手のいないストレスがあったと思います。吉沢さんは、勝手な思い込みですが、楽しく演じていただいたように見えました。インスピレーションをふくらませて大きい芝居をしていただいています」