今度狙うのは『自由』だ。東京芸術劇場『カノン』

東京芸術劇場『カノン』

 東京芸術劇場では2009年に野田秀樹が芸術監督に就任以来、さまざまな自主企画による作品を上演している。その中に国内外の演出家が野田の戯曲に挑むというシリーズがあり、昨年3月には劇団・快快の野上絹代が『カノン』を演出する…はずだったのだが、その時期といえば新型コロナウイルス感染症の感染者が徐々に増え始め、イベント等の開催の自粛が求められ始めたころ。この公演もぎりぎりまで開催を模索。劇場入りまでしたものの、無念の公演延期となっていた。

 今回、関係者の尽力もあり約1年5カ月の時を経て、ついに公演が実現する。

 キャストについては一部を除き、昨年3月の公演メンバーらがそのまま出演。沙金役のさとうほなみが2021年4 月に世界190カ国同時配信された NETFLIX 『彼女』に主演し、注目を浴びるなど、俳優たちは昨年3月以降、それぞれの分野で大きく成長した。

 作品では思想や理想、人間の本質、若者たちの焦燥感といったものが描かれており、昨年3月でも十分上演の意義がある作品だったのだが、コロナ禍にある現在、その意義はより一層高まったと言えそうだ。

東京芸術劇場『カノン』
【日時】 8月19日(木)~9月5日(日)(開演は平日18時、土13時/18時、日13時。※26・2日は13時の回あり。4日(土)は13時の回のみ。23・24・30日休演。開場は開演30分前、当日券は開演1時間前)
【会場】東京芸術劇場シアターイースト(池袋)
【料金】全席指定 一般5000円、65歳以上4500円、25歳以下3500円、高校生以下1000円 ※65歳以上、25歳以下、高校生以下チケットは劇場ボックスオフィスのみ取り扱い。枚数限定・要証明書。
【問い合わせ】東京芸術劇場ボックスオフィス(TEL:0570-010-296=休館日を除く10~19時 〔HP〕https://www.geigeki.jp/
【作】野田秀樹【演出】野上絹代
【出演】中島広稀、さとうほなみ/名児耶ゆり、永島敬三、大村わたる、山本栄司、長南洸生、緒形敦、川原田樹、手代木花野、佐々木美奈、前原麻希、本多遼、湯川拓哉、小田龍哉、村田天翔、竹内蓮、田坂歩/木津誠之、家納ジュンコ、佐藤正宏/渡辺いっけい