柄本佑「この人は不倫に向いてない(笑)」泳ぐ目線、上ずる声… 柄本佑が演じる不倫夫の役作りがリアルすぎる!?
黒木華と演じたスリリングな心理戦
初めての本格的な共演でダブル主演を務めた佐和子役・黒木華との息もピッタリ。
「黒木さんとこういう役でじっくり芝居するのはこれが初めてでしたが、うちの弟(柄本時生)が以前から親交があり、親近感もあったせいか思ったよりすんなり夫婦という役どころに入っていけました。普段、相手役が初めて共演する役者さんだと、わりと緊張したり距離感を図ったりということがあるんですが、今回そのあたりはとても良いあんばいで進めることができました。あれは自分でも不思議でした。いわゆる夫婦らしく世話を焼いたり焼かれたりという場面もあまりなかったし、すでに不倫しているという夫婦だったので、互いの距離感を図る感じが上手くはまったのかもしれません。黒木さんとは待ち時間もよく一緒にいて、お互いの好きな漫画の話をしていました。黒木さん主演でドラマ化もされた漫画『重版出来!』もお借りしたんですけど、メチャメチャ面白くて、すっかりハマってしまいました(笑)」
何事もないかのように装うセリフとは裏腹に、水面下で繰り広げられる感情のせめぎ合いを、わずかな視線や体の動き、声の抑揚でつぶさに伝える黒木と柄本の演技力は圧巻。そういった2人の心理戦のシーンでは堀江監督から非常に緻密な演出があったという。例えば、佐和子の原稿を読んでしまい、漫画の通り佐和子が教習所の先生と浮気しているのかもと不安になった俊夫が、車の中で佐和子に探りを入れるシーン。互いに、表面的には平静を装っているが…。
「実際は、バチバチと火花を散らすような心理戦が繰り広げられている場面です。監督からは“このセリフを言う時に俊夫は佐和子を見ているけど佐和子は目を合わせない。でも次のセリフで逆になる”とか“どのタイミングで2人の視線が合う”というような指示を頂きながら、何度も段取りをして臨みました。僕たちも、堀江監督がセリフ以上の奥行きを求めているんだなということは感じていましたし、実際、2人の言葉の奥にある感情を感じられると思います。1つ言えるのは、そういうやり取りをしているとき俊夫は常に負けている、ということです(笑)」
2人の心理戦に手に汗握るうち、見る側もしだいに現実なのかフィクションなのかが分からなくなるほど物語に翻弄され、最後には痛快なラストが待ち受ける…!?
(TOKYO HEADLINE・秋吉布由子)
監督:堀江貴大 出演:黒木華、柄本佑、金子大地、奈緒、風吹ジュン他/1時間59分/ハピネットファントム・スタジオ配給/9月10日(金)より新宿ピカデリー他全国公開 @watatona_2021