一人の政治家を追った一冊の本『政治家 中山泰秀』著者・杉浦美香氏が語る中山泰秀氏

今年3月に行われた「こども未来国連」でのひとコマ

 かつての安倍氏との苦い経験を踏まえたうえで、杉浦さんには中山氏はどう映っていますか?

「中山さんは世襲と言われることと戦い続けているように思います。そして幼少のころから父の背中を見てきたことを糧にして『政治家 中山泰秀』をやっている。世襲であることを最大限生かしているように感じます。そこを評価する人もいるし、そうじゃない人もいる。“どうせ世襲でしょ。お坊ちゃん議員だし”というような言われ方はずっとついて回ってくる。そういうところも含めて、中山さんは世襲議員が抱える“十字架”という言葉を使っていました。でもその十字架を背負いながら、それでも何をやれるかということを考えてやってきている。最近のイスラエルや台湾に関する発言で批判もされましたが、それらについては日和らないで自分の心情をきちっと言葉にされる政治家であるなと思いました。そもそも国際政治の安全保障とか外交というものはなかなか票になりにくいんです。安倍さんも“自分は世襲であることによって、票になりにくい分野に取り組めた。それが世襲の利点”といった内容のことをおっしゃっていたんですが、それと同じことが中山さんにもいえるんだと思います。世襲であるからこそ、お父様についていって、いろいろな外交の現場を早くから近くで見ている。これは得ようと思ってもなかなか得られないすごいメリットだと思います。世襲だからという十把一絡げで、批判するのは簡単なんですけど、そういういい面も考えてみてもいいんじゃないかというのはインタビューなどをさせてもらっている中で自分自身も感じましたので、それが本の中でうまく伝わればいいなと思っています」

 ちなみに1月に再会する前は中山氏についてはどういうイメージを持たれていましたか?

「正直に言うとあまり知らなかったんです(笑)。もちろん、ヨルダンの現地本部長だったことなどは知っていましたが、遥か彼方の記憶になってしまっていました。大阪選出の世襲の議員の方という印象しかなかったです。中山さんがおっしゃるネット上の誹謗中傷みたいなことも、政治部であればもっと注意深く見ていたんでしょうが、私は社会部から科学とか医療、環境といった分野を取材することが多くなっていましたから。山形支局と北海道支局で支局長を務めたこともあるんですが、そこの議員さんのことはよく取材するんですが、中山さんとは接点がなかったもので。なので今回はまっさらな状態でお会いして一から関係を築いていったという感じです。もちろん中山さんもすべてをさらけ出しているとは思いませんが、こんなに長い時間をかけて一人の政治家に話を聞くことができること自体、稀有なことで私にとっても新鮮な出来事でした」

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