乙武氏がロボット義足で約70mの歩行を披露!「歩きたいと願う人の選択肢に」

力強い歩行を披露した乙武氏

「両手を後ろで縛られて、玉乗りしているような感覚」。両手両足のない乙武氏は、プロジェクト開始時に義足を履いた不安定さをそのように例えた。2018年10月からは、膝にモーターを付けたロボット機能が組み込まれたが、「重さ」がネックになった。モーターは、地面を蹴ったり、立ち上がったりする動きを助けるために必要だが、義足全体では約10kgの重量がある。「乙武さんは、生まれつき両手両足がなく、二足歩行の経験がなかったこと、健常の人に比べて筋力が少なかったことなど、重たい義足をつけて歩くことが思った以上に難しかったと思う」と、エンジニアの遠藤氏は振り返った。

 当初は7mほど歩行するのがやっとだったが、理学療法士から歩き方のポイントを学んだり、歩行のバランスを取るために両腕に義手を付けたりするなど、さまざまな工夫を凝らし、徐々に距離を伸ばしていった。乙武氏自身は筋力を付けるために、マンションの非常階段を60階昇る「階段トレーニング」を毎日実施。基礎体力を向上させた。