車いすバスケットボール日本代表が新体制を発表。「ジャパン・スタイル」磨きパリへ
写真左、男子日本代表を初のメダル獲得へ導いた京谷和幸HC(写真・Paraphoto 中村 Manto 真人)
「ジャパン・スタイル」の強化
海外選手に比べて高さの足りない日本代表は、長らく、堅い守備からボールを奪い、速い攻撃を仕掛ける「トランジションバスケ」を戦略の柱としてきた。ゲームの終盤でミスがあったり、集中力が切れたりという課題を克服するため、1.5倍の練習量をこなしてフィジカルを高める一方、練習試合を重ねる中で、ディフェンス、オフェンス両方の質を高めてきた。その結果、東京パラリンピックにおけるファーストブレイク(速攻)ポイントは世界一。世界王者・アメリカの80本を大きく上回る92本で、12カ国中最も多い得点となった。
今後の強化ポイントとして、京谷HCは「世界一走り、世界一ハードワークできるチーム」、「世界一切替の早いチーム」、「どこからでも得点が取れるチーム」の3つをコンセプトに掲げた。これまでのトランジションバスケや、強いディフェンス、1.5倍の運動量といった3要素は「ジャパン・スタイル」として維持しつつも、フィジカル強化やシュート精度、試合中の判断力などの強化で、更なる磨きをかける。特にフリースローの成功率は、東京パラリンピックで12カ国中、最下位の40.4%。首位のカナダは74.6%だったとし、まずは試合で65%以上、合宿で80%以上を目指すとした。
「ホームアドバンテージのあった自国開催とは違い、これからはアウェイの舞台。常に世界トップ5に入る力を付けていくことが必要」と、覚悟を滲ませた。