草彅剛が再びシカゴのギャングに「積み上げてきたすべてを出せる集大成」 舞台『アルトゥロ・ウイの興隆』開幕

 

 草彅剛の最新主演舞台『アルトゥロ・ウイの興隆』が14日、KAAT 神奈川芸術劇場で開幕する。初日を翌日に控えた13日に同所で公開通し稽古が行われた。

 ドイツ演劇の巨匠ベルトルト・ブレヒトの大作を白井晃氏が演出したもの。白井氏が同劇場の芸術監督を務めていた2020年に上演されており、今回は再演となる。

 原作は、ヒトラーが独裁者として上り詰めていく過程をシカゴのギャングの世界に置き換えて描いた問題作。白井がジェームス・ブラウンの楽曲を中心としたファンクミュージックを散りばめて、斬新な作品に仕立て上げている。

 

 

 草彅が演じるのはシカゴのギャング団のボス、アルトゥロ・ウイ。全編に渡り、「(Get Up I Feel Like Being Like A) Sex Machine」などジェームス・ブラウンの歌を中心に歌って踊り、主人公がさまざまな犯罪行為を犯しながら成り上がっていくようすを演じる。

 初日を翌日に控えた13日、通し稽古が公開された。舞台はオーサカ=モノレールの演奏と音楽、ダンサーたちのきらびやかなダンスで華やかかつドラマティックに幕を開けると、草なぎは真っ赤なスーツにハットで登場。バンドの真ん中に飛び込んで、マイクを握ると、ファンキーに歌い、ファンキーにダンス。瞳を大きく見開いて声を荒げたり、時には権力者の足にすがってみたりしながら、自信の野望を現実のものとしようとするギャング団のボスを演じて見せた。

 草彅は、本作について「シカゴギャング団のボス、アルトゥロ・ウイはとにかく野心にあふれた人物。ウイの気持ちを受け止めて演じること、そして歌に踊りに、心身ともに大変な舞台ですが、自分の積み上げてきたすべてを出せる集大成となる舞台だと思っています」と、コメント。そのうえで「ご覧になられた方たちに、舞台からエネルギーを伝えられるよう、2022年まで、カンパニー全員で突っ走ります!!」と、意気込む。

 演出の白井晃は、「初演から2年弱の間に世界は大きく変わりました。あの時問題にした政治的状況も一見変化したようで、実は益々深刻になっています。それだけに、この作品の必要性が増しているように思います」。再びウイに挑む草彅について「(リハーサルの中で)鋭角的に研ぎ澄まされてきています。全神経をこの作品に注ぐ姿は清々しくもあります」とし、「キャスト・スタッフともに更にパワーアップされて、世界を突き抜く作品がお見せできそうです」とコメントを寄せている。

 共演に、神保悟志、渡部豪太、松尾諭、小林勝也など初演メンバー。さらに、榎木孝明、七瀬なつみが加わる。

 12月3日まで同所で。その後、京都公演があり、年明けは東京・豊洲PITで公演がある。

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