一途な元暴走族長に人気集中!?『ラヴ上等』から学ぶ “ヤンキー界のモテ男”に必要な素質(5〜7話・ネタバレ有)
【第6話】ヤンキーはなぜ、優しいのか
黒板に好きな人の名前を書いてみる。ヤンキーではなくとも、人知れずやってしまったことがある人も多いのではないだろうか。出会いたてだったにも関わらず、ヤンボーへの湯が沸きそうなほど熱い愛を燻らせてしまった地下格闘技選手・てかりん(21)。ラブ上等の不器用メンバーの1人でもある。
彼女の振る舞いを見ていれば、心を殺して社会で働く大人はみな、感情に素直に生きていたあの頃に戻りたくなってくるはずだ。
てんてんに好意を伝えられても「自分が女の子の中で一番ブスだと思っている」と話す。だけど「この顔が好き」と言われれば、顔を綻ばせてしまう。不仲だった兄にも、急に電話をかけて自分の思いを伝えてしまう。引きこもりだった時期もあるというてかりん兄の声は、とても優しかった。
『ラブ上等』はヤンキー恋愛リアリティーだが、要所で“社会からはじかれたことがある”というメンバーの共通点を指摘してくる。しかし、グレた理由も育った環境もそれぞれ違うことも、てかりんはまっすぐに受け止めた。
彼女たちには共通点がたくさんある。しかし傷ついた経験があるにも関わらず、その傷を開示し合えたことが素晴らしい。だからこそてかりんは、自身の過去を前向きに捉え直すことができた。ヤンキーのリアルを見つめていく中に、こんなメッセージ性があるとは思わなかった。
そして前回、グランピングデートはBabyを誘ったかと思いきや、学校行事ではあもを誘い出した二世。どっちも見て検討したい気持ちは分かるが、誘い方がまっすぐだからこそ、周囲にいる人を混乱させている可能性もある。苦い表情のおとさんに「一緒に輪投げ作ろう」と誘ったつーちゃん。その言葉はただの優しさだったのだろうか。

その後もつーちゃんは、サウナでてんてんに「若い」と言われたことを気にするてかりんの愚痴も聞いてあげていた。てかりんの管を巻き気味の愚痴も、共感ベースで聞いてくれる。つーちゃんはつーちゃんで、その優しさを無意識で女子メンバーに振り撒いていくが、彼自身が誰に“マジの気持ち”があるのかは、なかなか見えない。
ヤンキーにとって、いや、喫煙者にとって、喫煙所とは「なぜか心を開きやすくなれる場所」とされているらしい。煙草をくゆらせるBabyは、つーちゃんの前で本音で話しているように見えたし、あもへの嫉妬を募らせていたおとさんは、二世の前で「あもを穿った目で見てしまう辛さ」についてもポロリと話した。
芯の強いあもと、優しすぎるおとさん。最後のシーン、あもの前で二世に泣きついたのは、その心の傷、弱さをあもから隠したかったようにも見えた。

