いきものがかり 3月15日でデビュー丸10周年 記念日に最新ベストアルバムをリリース!
デビュー曲『SAKURA』をはじめ、『ありがとう』『風が吹いている』など、今後も長きに渡って歌い継がれていくであろう名曲の数々を送り出し続けている、いきものがかりが、記念すべきポイントに立っている。3月15日はデビューから10周年の記念日。デビュー前「10年後もCDを出そう」とメッセージを送りあった彼らは、今、何を思う?
10周年で振り返ることばかりです。
それを全部やり切ってリスタートしたい。新しいスタートを切りたいと思う。
前よりパワーアップした、それさえ伝われば
3月15日、いきものがかりはスペシャルな日を迎える。この日はデビューから丸10周年となる日。それに合わせて、これまでの集大成ともいえる最新ベストアルバム『超いきものばかり~てんねん記念メンバーズBESTセレクション~』をリリースする。
新曲の制作やリリース、全国ツアーと並行して、準備を進めてきたアルバム。初回生産限定盤のボーナスディスクを入れると収録曲は60曲に達した。それに比例してか、タイトルも長い。いきものがかりらしさ、伝えたい情報、ちょっとした笑い、いろいろなものが詰め込まれている。
水野「前のベスト盤のタイトルは『いきものばかり』でした。すごくしっくりきたネーミングだったと今でも思います。そのうえでの最新ベストですから、あの時よりも曲を書いているし、いろいろな経験もしたし、大きくなっているはず、パワーアップしているはずだ!と思って。前のベストを超えるタイトルにしたかったんです。それでタイトル決めはすごく悩んで、……最後には、伝えたいのは、このベスト盤は『いきものばかり』を超えてるってことだと、思い直しました。それで超に…」
近年発表した楽曲のスケール、これまでの楽曲の認知度、なによりもグループの存在感。ときどきニュースに笑わせられたりもするが、いきものがかりがパワーアップしているのは見て取れる。
水野「この5年で、吉岡の声をたくさんの人に知ってもらえたのは大きかったと思います。曲作りにもいい影響が出ていて、曲のテーマがどんどん大きくなって、普遍的になってきても、吉岡の声のおかげで、いきものがかり(の作品)になるんです。それと、吉岡が技術や歌いまわしに頼らないことも大きいでしょうね。アップテンポでもバラードでも同じように歌うって難しいこともやっちゃいますから」
吉岡「いつもせめぎあいですよ(笑)。今度はこんな曲か、難しい!と思うことも多いです。それぞれの曲に“わたし”や“僕”“あたし”がいるので、物語の伝え方も広がっている気がします」
山下「成長した部分と一緒に、変わらない部分もありますね。それは誇りでもあるんです。収録されている『夢題~遠くへ~ 』という曲は、僕が高校生のころ、いきものがかりが始まったころに書いた曲なんです。17年前に書いた曲が、去年書いた新曲と一緒に並んでいるのを見ると、それほどブレないものを作れてきたのかなって思います」
メッセージソングよりも感情が重ねられる曲
デビューからは10周年だが、結成は1999年で活動期間は約17年。厚木や海老名のストリートから始まったいきものがかりは、今では新曲を発表すればチャートをにぎわすトップアーティストへと成長。彼らが世に送り出した楽曲は、歌番組でのパフォーマンス以外にも、アニメやドラマの主題歌、CMソング、合唱コンクールの課題曲にもなって広がり、多くの人に愛されている。
多くの人に愛される曲を作る――。たいていのアーティストが心から望んでいることだろうが、実現するのは難しいこと。いきものがかりは、それをずっとやり続けているように見える。
吉岡「ストリートで歌っていると、お年寄りでも、子供ちゃんでも足を止めてくれるとすごくうれしいんですね。その時感じたのが、聴いてくれる人が望んでるのは“こういうことってあるよね”って思える曲なんだなってことです」
水野「聴きたいのは、僕らがどう思ってるかじゃない。そう思い続けてやって来ていますね。だから今も、自分たちの内面を歌うとか、歌でメッセージを発信するグループじゃないのかなっていうのがあるから書いてこなかったし、……書けなかったのかもしれないし」
吉岡「自分が言いたいことを歌うにしても、物語に置き換えて届けるほうが感情を重ねやすい気がしてますね」
すっと入ってくるメロディーに誰もが物語に入り込めるような彼らの曲は親しみやすく、人懐こさもある。その一方で、そんな曲を作った彼らの人物像となるとなかなか伝わってこない。いきものがかりには、そんな不思議な側面もある。ただ、この10周年近辺でその状況が少しだけ変わりそうだ。期間限定になるかもしれないが…。
吉岡「アルバムの最後に収録されている曲『ぼくらのゆめ』はリーダー(水野)が持ってきてくれた曲なんですが、…メッセージソングっぽいんです。今までなかったタイプの曲ですし、メッセージソングみたいなものをしっかり曲にできた、と思うと、新しい風を感じますね」
水野「アルバムの話が進み始めてからできた曲です。10周年の記念アルバムだから、それを意識した曲があってもいいかなって。あまり自分たちのことを歌ってこなかったけど、いい機会だし、自分たちにあてた手紙みたいな曲を書いてみようって。まさか、アルバムのラストに置かれるとは思わなかったですけど」
吉岡「もともとは、その前に収録されている『夢題~遠くへ~』をラストと考えてたんです。でも、そこからつながって行く感じがすごい良かったんです、軽やかで」
山下「収録曲のなかで、一番古い曲から一番新しい曲っていうのもいいよね」
水野「これまでのストーリーをいったん終えて、新しいストーリーを始める。リスタート、そんなふうに気付いてもらえたりしたらうれしいですね」
10年後もまたCDを出しましょう
デビュー前に「10年後もCDを出しましょう」と、約束を交わしていたという。
水野「20歳ぐらいのときワンマンをやった時、山下と話したんです。30代になっても音楽をやっていられたら、成功っていえるんじゃないかって。それがデビューから10年になって、後ろ倒しになりましたけど達成できたので、これから新しい目標を探さないと(笑)。リスタートです」
山下「僕らは小さな目標を立てて、一つずつ達成しながらやってきたんです。ライブをしたい、曲を作りたい、もっとたくさんの人に聴いてもらいたい、ワンマンライブをしたい、事務所に所属したい、そしてデビューしたいって。今と比べればデビュー前はすごく頑張ってたって思うんですけど、大変だった記憶はないんです。やるもんだって思ってたから。だからこれからもそれを続けていく、それだけだろうな」
水野「新しいことを次々にやったり挑戦をし続けるタイプのグループでもないですしね。10周年を一つの目標にしてきて幸せな環境で迎えられたので、さらに続けて行きましょう。また10年後もCD出しましょう、って。そういう意味でのリスタートです。でも、いつもそうなんですけどね。曲を作る、できた、リスタート。曲を作る、できた、またリスタートって(笑)」
さて、10周年イヤーがピークを迎えるのはここから。やることも少なくない。夏には、3人の地元の神奈川県厚木市そして海老名市で野外ライブが予定されている。
吉岡「厚木!海老名!ってしつこく言ってたわりに、ツアーでも数回しかライブをしたことがなかったんです。だから、振り返るなら地元で大きなお祭りをやれたらいいなと思いました。先日、市役所にご挨拶に行ったんですけど、どちらもすごい歓迎ぶりでした…いつものツアーやライブではない、記念ライブならではの何かみたいなのもできればとは思います。全部これからですが」
水野「勝手にストリートでライブして、勝手に出て行って、勝手に戻ってきてるのに(笑)。あの歓迎ぶりには恐縮しました」
山下「地元だけじゃなく、日本のいろんなところ、もしかしたら海外からも来てくれるかもしれない……そう考えると、いろんなことを考えたいですね。海老名市や厚木市とか地元とも一緒に」
ところで、水野がツイッターで展開中のいきものがかりのヒストリーが話題だ。そちらの展開も気になる。
水野「2月の終わりにようやくデビューまでたどり着きました。……いつ終わるんだろうって感じですよね、僕もそう思っています(笑)。10周年で振り返ることが多くなって、これまで自分たちのことを見て楽しんでもらうってことをやらなさ過ぎたなって思ったんです。何よりもまず曲で、って感じで。でも本当は、うれしいんですよ。聖恵(吉岡)ちゃんかわいいとか、3人のキャラクターがいいねとか。10周年だし、全部振り返ってしまおうと始めたんですが、大変なことになってますね」
いきものがかりの10周年。まだまだオドロキの展開が待っていそうだ。
(本紙・酒井紫野)
最新ベストアルバム
『超いきものばかり〜てんねん記念メンバーズBEST セレクション〜』
『SAKURA』『帰りたくなったよ』『ブルーバード』『YELL』『じょいふる』『ありがとう』『風が吹いている』などの楽曲に加え、アルバム未収録の最新シングルや、新録曲に新曲4曲を含む、メンバーが選んだ60曲を収録。「(タイトルの)てんねんと10(テン)年とのダジャレ的なところが、意外と伝わってないみたい…」と、吉岡。アルバムの詳細は特設サイト(http://ikimonogakari.com/cho-bakari/)で。《初回生産限定盤[4CD]》4444円 《初回仕様限定盤[3CD]》3333円