五味隆典が3年半ぶりの勝利へ「窓から何度も逃げ出す」猛特訓【9・23UFC JAPAN】
「最後にホームでやりたい」とUFCラストマッチにおわす
「UFC FIGHT NIGHT JAPAN」(9月23日、埼玉・さいたまスーパーアリーナ)に出場する五味隆典が8月25日、合同取材を行った。
五味は現在4連敗中で、UFCにおける成績は4勝8敗。最後の勝利は2014年4月と実に3年半勝てていない状態。今回のキム・ドンヒョン戦はまさにがけっぷちともいえる戦いとなる。UFCの日本大会は2年ぶり。このタイミングでの出場については「ホームでできるというのは素直にうれしい。UFCが一番試合数が多い団体になったので、最後にホームでやりたいというのはあります」とUFCでのラストマッチをにおわせたうえで「いろいろな可能性は全部終わりではないので、今後も大きな試合とかいいマッチメイクがあればどんどん海外にも挑戦していきます」と話した。
この日の取材場所は自らのジムである「東林間RASCAL GYM」。これまでの東京都杉並区久我山から神奈川県の東林間に7月に移転したばかり。
「もともと格闘技を始めた場所ですし、ここで生活していたこともあったので、慣れ親しんだ町。いつか慣れ親しんだ人たちの所でやりたいというのはあった」
まだ完全にジムの体裁は整ってはいないのだが、五味は現在ここで徹底的に基礎体力から鍛えなおしているという。
「今まで技術練習とかスパーリングに頼りすぎていたところがあった。基礎体力をしっかり戻そうということで一番地道な作業をしている。ウェイトトレーニングのトレーナーの方と毎晩やっているんだけど、“もう無理です”って窓から何度も逃げ出すんだよね、俺(笑)。今まではそこまでやっていなかった。技術練習とロードワークだけ。やはりしっかり筋力トレーニングをやらないとダメ。打撃の選手の追い込みとか調整を勉強させてもらっていたんだけど、それだとなかなか総合の試合だと結果がついてこない。技術も体力がないと生かせない。言い訳じゃないけど6月の試合はちょっと集中できてなかったかなというのはある。今年はジムの移転に相当エネルギーを使っている。最後に久我山で1回勝てればよかったんだけど、なかなかそうもいかない。せっかくジムも新しくしたので勝っていけるようにやろうと思っています」
過酷なトレーニングの成果については「国士舘大学のレスリング部の菅平の合宿でも若い選手とぶつかり合うことができた。ウェイトトレーニングで追い込んでなかったら全くできなかったと思うので効果は出ていると思う」と話す。
「分かんないから負けちゃうんだよね。ただやるしかないでしょ」
「この基礎体力の強化は最近の結果を踏まえてのもの? 最近の勝てない状況については?」という質問が飛ぶと…。
「分からん。分かんないから負けちゃうんだよね。ただやるしかないでしょ」という答えが返ってきた。
今回の相手のドンヒョンは28歳の韓国人ファイター。UFCでは1勝2敗の戦績。
「パンチとヒザで前に出てくるアグレッシブな選手。粗削りだけど、面白い試合になる。全部出し切る、お客さんに熱気が伝わるような、しっかり汗のかけるような試合をしたい。もう試合ではやり残したことも悔いもない。失うものもない。全力でやるだけ」
「なにやっても面白くないね、勝たないと」
ちなみに五味は大会の前日の22日が誕生日。代名詞でもある“スカ勝ち”で自ら誕生日を祝いたいところだが「勝った時しかいいことないよね、ファイターは。勝たなきゃ面白くないよね。なにやっても面白くないね、勝たないと」と自分に言い聞かせるように話した。
今回の大会では五味にあこがれて格闘技を始めた佐々木憂流迦ら若い選手が多く出場する。
「後を任せられる選手はいっぱいいる。俺はもう、最後のわがままだと思ってファンの人には付き合ってもらおうと思っているので、それを裏切らないような試合ができればそれでいい。早く楽になりたいよ、俺も(笑)」
今回の試合の持つ意味は五味も取材陣も分かっている。そしてやはり4連敗中ということもあり、そうそう景気のいい話にはならない。そんな空気を察した五味は「なんか試合が終わった後のインタビューみたいだね(笑)。暗いね。なんか明るい話題ないかな~。結婚の予定か?(笑) やんなっちゃうよ。女難だな…。格闘技がいつも邪魔するんだよ(笑)。早く終わらせたいよ試合を(笑)。いいところまでいっても試合が入っちゃうんだよな~」と笑わせた。そして「試合が終われば東林間でちびっこレスリングをやったり、ちびっこのMMAをやったりして子供の声が響くようなジムにしたい。そういった意味でもいい試合をするように1試合1試合大事にやろうと思っています」と締めくくった。