【注目候補に聞く】東京5区 希望の党候補・福田峰之氏
「個別の政策はもちろん、いくつになってもチャレンジできるというということを伝えたい」
今回の選挙で唯一のプロフィールを持つ候補がいる。それは福田峰之前衆議院議員。福田氏は安倍首相の解散表明に先駆け自民党を離党し、設立メンバーとして希望の党に参加。今回、かつての神奈川8区から東京5区に選挙区を移し、選挙戦に挑む。福田氏にこれまでのこと、そしてこれからのことを聞く。
ーーまず、今回の解散についてはどう思いましたか?
「正直驚きましたけれども、それは総理が決めることですから致し方ないことだと思いました。同時に僕にとっては人生の新しいチャレンジをする、いいきっかけになったと思っています」
ーー進めていた政策などが中断してしまうことへの忸怩たる思いなどは?
「今回、希望の党に移ったわけですから、過去に自民党の福田峰之としてやってきたことはいったんリセットさせていただくことになります。もちろん、政治家・福田峰之としてはやり続けていきます。政治家としてやらなければいけない役割は変わらないです。ただやり方とか方法論、あるいはスピード感といったものは変わってくると思います」
ーー得意分野、基本政策を教えてください。
「政策の一つは原発をゼロにして水素エネルギー、再生可能エネルギーに切り替えていくということ。これが1番重要なことだと思っています。もう一つはIT、フィンテック、シェアリングエコノミーといった最先端の経済政策をさらにスピード感を持って進め、規制を乗り越えて実現しやすい環境を作るということです。水素エネルギーについては5年ほど前に私と小池百合子さんで推進する母体を作りまして、それからずいぶん一生懸命やってきましたけど、ようやく日本の中でも水素エネルギー政策の位置づけというものが明確になってきましたので、まさにこれからですね」
ーー今回は東京5区からの立候補になります。
「支援者ゼロだし、後援会もゼロだし、活動母体もゼロだし、お金もない。まさにゼロからの出発。小池代表的に言うと“リセット”。私自身としては、もう1回ゼロからのスタートという感じですね」
ーー唯一の自民党からの離党者、そして新たな選挙区からの立候補ということも合わせると「リセット」ということを最も体現している存在といえます。
「そうですね。でも私が決断した理由は直接政治に関わることばかりではないんです。私は今53歳なんですけど、同じくらいの年齢になると会社にいようが何をしていようが先が見えてしまうんです。“もう部長は無理だな”とか“そろそろ出向かな。子供がいるし家族もあるから仕方がないか”といったことですよね。でもそこでいったん立ち止まって、そこからベンチャー企業を立ち上げようとかNGOに行ってみようといった新しいチャレンジをしていこうと思えるような社会のほうが活気があるし、生きているという実感を持てるじゃないですか。自分は今まさにそういうものにチャレンジしている最中。僕と同じくらいの世代の人はどこかにそういう気持ちを持っている人は多いと思うんです。そういう人たちに一歩踏み出してみようという勇気みたいなものが伝えられたらいいな、とは思っています」
ーー今のチャレンジしている姿を見てくれ、ということですね。
「今までは支援者もたくさんいましたし、手伝ってくれる人もたくさんいたけど、今は何にもないんですから。何かにチャレンジするっていうことは何もなくなっちゃうということも意味している部分もあるじゃないですか。それでもやってみようって思えること、そういうことができる環境にある、あるいは立ち止まって振り返ることが普通になっていくって、僕は素晴らしい事だと思うんですけどね」
ーー今回のチャレンジはそうやってすべてのものを失ってもやる価値のあるチャレンジだということ?
「そうですね」
ーー自民党の現職の若宮健嗣氏に加えて、立憲民主党から手塚仁雄氏が立候補の予定と一気に激戦区となりました。激しい戦いが展開されそうです。
「分かりやすい3極構造の典型ですよね。逆にいえば有権者の方々も分かりやすくていいんじゃないでしょうか」
ーー若宮、手塚の両候補と対抗するにあたり、福田さんのアピールポイント。この2人にはないご自身のセールスポイント教えてください。
「僕は最先端の経済政策を担当してきたので、そこは誰にも負けません。水素エネルギーについても長く携わっておりますので、エネルギー政策についても誰にも負けないという自負を持って訴えていきたいと思っています。だけどやはりもう一つは“こういう生き方もある”ということをしっかり示したいんです。個別の政策よりもこれが僕にとっては1番重要。何かをあきらめちゃうんじゃなくて、いくつになってもチャレンジできる、振り返って考えて一歩踏み出してみよう、そういうことを伝えたいんです。それは党も代え、選挙区も代えて今回の選挙に挑む僕にしか言えないことですから」
ーー神奈川8区で出るものと思っていましたので、東京5区というのはビックリでした。
「向こうで出るという選択肢もあったんです。地元の方にはご迷惑をかけたけれど、それも含めてリセットして新しいチャレンジをします。いろいろ批判を受けていますよ。でも、この姿を見せていくことによっていろいろな人を勇気づけられたら、と思っているんです。まあ、青臭いですよね。53歳になって普通そんなこと言わないじゃないですか。今まで選挙でこんな事は言った事はないんですけど本当にそう思っているです。じゃないとやらないですよ。だって離党したとはいえ、神奈川県で出ればそれなりの票は見込めたわけじゃないですか。それをやらないんですから。よく“向こうじゃ選挙が厳しいから離党した”とかおっしゃる方もいる。確かに今までの選挙だってもちろん厳しかったですよ。だけど急に全く知らない所に来てやるって、これだって大変なことです。むしろこっちのほうが大変かもしれない。だから“選挙が厳しいから逃げたんじゃないか”っておっしゃる方には心の中で“こっちのほうが大変なんだけどな”って思っているんです」
ーー批判というのは自民党員というか「自民党の福田峰之」を支持していた人ですよね。もともと福田さん個人を支持していた人からそういう批判は?
「それはないです。もともと私を支援してくれていた人たちは、この選択も良かったと言ってくれています。だから比率的には3分の2が批判で3分の1は新しい政治を作るという意味で応援してくれる人。だけど批判する人の声はネットなんかも含めて大きいんですが、応援してくれる人はどちらかというとサイレントじゃないですか。でも選挙区とか関係なく全国から“よく決断した”とか“新しい政治を作ってくれ”いうようなメッセージはすごく多いんです。だからそういう声も受け止めて頑張りたいと思っています」
ーーでは希望の党が過半数を取る、もしくは政権に大きな影響及ぼすようなことになれば日本はどう変わりますか?
「スピード感のある改革というのが希望の党の命なんです。自民党は歴史があっていろんな先輩がいたりするので、しがらみとかがやっぱりある。選挙後、どこが与党になるかは分からないです。希望の党が与党になったらスピード感を持って改革を進めていく。残念ながらそうはならなかったとしても、例えばそれなりの数を持った野党第1党から“こうすべきではないのか!”と言われたら、与党も“早くやらなければいけない”というマインドになる。そういうやり方でスピード感を持って改革を進めていきます。僕は最先端の経済政策の担当者ですから、スピード感は特に重要。シェアリングエコノミーなんていろいろな規制にぶつかるんですよ。そこにはいろいろな利害関係者がいてなかなか前に進めない。そんなことをやっているうちに海外のシェアリングエコノミーの会社がどんどん成長して日本に進出してくる。そんなことをやっていたら経済がおかしくなっちゃう。そういうことをしっかり国民に向かって発信して社会構造を変えていきたいと思っています」