サンプル『ゲヘナにて』

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 昨年上演した『自慢の息子』で第55回岸田國士戯曲賞を受賞した松井周が主宰するサンプルの新作。受賞後第一作となる本作は、三鷹市芸術文化センターのこの時期の名物企画「太宰治作品をモチーフとした演劇」公演でもある。

 自分を太宰治の生まれ変わりだと信じている男は無理心中で一人だけ死なせてしまった恋人、母、妻が渾然一体となった「女神」の復活が近いことを周囲に説く。「女神」にすがらないと世界が滅亡する、と。しかし男の言うことを信じる者は誰もいなかった。男は至る所で「女神」のしるしを目の当たりにし、やがてそのしるしに導かれるようにゲヘナ(地獄)へ到着するのだった。

 前作はいわば境界線の内と外のお話だったが、今回はフィクションと現実の緩衝地帯ともいえる部分のお話。過去と未来の「間」、生と死の「間」、人と物の「間」、太宰治と私たちの「間」、舞台と観客の「間」など、さまざまな「間」をより意識した作品となる。

 1日にハイバイの岩井秀人、2日夜は映画監督で脚本家の古澤健、3日にはロロの三浦直之とのポストパフォーマンストークあり。

【日時】7月1日(金)〜10日(日)(開演は火〜金19時30分、土14時30分/19時、日14時30分。水は14時30分の回あり。開場は開演20分前。当日券は開演40分前から発売) 【会場】三鷹市芸術文化センター 星のホール(三鷹) 【料金】全席自由・整理番号付き 一般 前売り3000円、当日3500円/高校生以下(要学生証) 前売り当日とも1000円 【問い合わせ】サンプル(TEL:090-2903-8363=10〜20時 〔HP〕http://www.samplenet.org/) 【作・演出】松井周 【出演】辻美奈子、古舘寛治、古屋隆太、奥田洋平(以上サンプル・青年団)、野津あおい(サンプル)、渡辺香奈(青年団)、岩瀬亮、羽場睦子