虚構の劇団『天使は瞳を閉じて』

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 この作品は1988年初演の第三舞台の代表作の一つ。11月に第三舞台の封印解除公演が行われることから、その前に虚構の劇団で第三舞台の作品を、ということでこの作品を上演することになったという。3・11の前から上演が決まっており、この時期にこの作品を上演するのは全くの偶然なのだが、このタイムリーさに驚かされる。

 物語は原子力発電所のメルトダウンから始まる。

 そして街を取り囲む“見えない壁”によって放射線や宇宙線といった脅威から守られながら、そうとも知らずに自由を求めて“見えない壁”を壊そうとする人々が描かれる。

 88年といえば、チェルノブイリの記憶も生々しい時代。当時は世相に重ね合わせ舞台を見た人も多かった。実際に身近でそんなことが起こってしまった今回はなおさらそういうふうに作品を見てしまいがちだが、もうひとつのテーマである「人間が根源的に抱える孤独・不安・愛への渇望・焦燥感」といったものを見失わないで見てみたい。

 第三舞台の中軸であり、この作品では初演からずっと「マスター」役を演じている大高洋夫が客演する。

【日時】8月2日(火)〜21日(日)(開演は平日19時30分、土14時/19時、日14時。11日と18日(木)は14時の回あり。7日(日)は19時の回あり。月曜休演。開場は開演30分前。当日券は開演1時間前から発売) 【会場】シアターグリーン BIG TREE THEATER(池袋) 【料金】全席指定 前売・当日ともに4500円(平日昼公演は4000円) 【問い合わせ】サンライズプロモーション東京(TEL:0570-00-3337=10〜19時)〔劇団HP〕http://kyokou.thirdstage.com/) 【作・演出】鴻上尚史 【出演】大久保綾乃、大杉さほり、小沢道成、小野川晶、杉浦一輝、高橋奈津季、三上陽永、山崎雄介、渡辺芳博/大高洋夫