野田首相が復興増税の負担増額の可能性に言及

 野田佳彦首相は28日の参院予算委員会で、東日本大震災の復興事業が拡大した場合の対応について「税金の負担額が増えるか必ずしも言えないが、その可能性もある」と述べ、さらなる増税を行うこともあり得るとの認識を示した。

 財源確保のため政府・民主党が決定した臨時増税案については「いずれ増税すればいい、経済がよくなってからやればいいということでは復興債償還の道筋を明らかにすることにはならない」と述べ、増税時期の先送りを否定した。

 首相は平成23年度第3次補正予算の早期成立に向け「与野党がある程度事前に合意しながら、なるべく早く成立させたい。3党合意を踏まえて中身の点検が早く進むほうがいい」と述べ、自民、公明両党との事前協議の必要性を強調した。

 政府・民主党案決定を受け、民主党は28日、自民、公明両党に対し、3次補正と財源を賄う臨時増税案をめぐる3党協議を提案したが、自民党は政府・民主の財源案に反発。公明党も回答を保留するなど、3党協議に暗雲が漂っている。

 自民党は復興財源としての臨時増税には反対していないものの、政府・民主案は増税幅が大きく、日本たばこ産業(JT)株の全株売却などが税外収入に含まれていることを問題視している。

 政府は3次補正を10月中に提出したい考えだが、野党が参院で多数を占める「ねじれ国会」の中、速やかな成立を図るためには事前の3党協議は不可欠。藤村修官房長官は28日の記者会見で「与野党協議でどうなるかが最後の結論だ。(増税の)期間についてはまだ交渉の余地がある」と柔軟姿勢を示したものの、協議の開始時期が見通せない状況が続いている。