ティーファクトリー『騙り。』
写真:イラスト・宇野亜喜良
昨年5月に日本初演となるパゾリーニの『豚小屋』を上演した川村毅のティーファクトリーが、今度はパゾリーニ戯曲の第2弾となる『騙り。』を上演する。
パゾリーニは日本では映画監督としてよく知られるのだが、実は戯曲も十数本書いており劇作家の顔も持っていたという。
この『騙り。』は『豚小屋』とコインの裏表の関係にある作品。『豚小屋』は手塚とおる演じるブルジョワ家庭の息子の心の闇を、その息子の視点で描いた作品だったが、『騙り。』は父の視点からの、父による「息子殺し」を題材としている。その反転した関係性を表すように手塚は今度は父親役を演じる。
心身ともに変調をきたしたブルジョワの実業家である父親は、ある夢を見たことをきっかけに執拗に息子を解明しようとする。宗教には関心のなかったはずなのに神父に救いを求め、降霊術師に息子の存在を訪ねる。しかしさまよえる父親は結局息子を殺してしまうのだった。
前作は難解な作品ではあった。しかし理解を必要とする作品ではなく、視覚に訴える刺激的な作品であった。今回もそう。頭で考えないで、目と耳で感じる作品となる。
【日時】4月18日(水)~22日(日)(開演は水金19時、木土15時/19時、日15時。開場は開演30分前。当日券は開演1時間前から発売) 【会場】座・高円寺1(高円寺) 【料金】全席指定 4800円 【問い合わせ】ティーファクトリー(TEL:03-3344-3005 〔HP〕http://www.tfactory.jp/) 【作】ピエル・パオロ・パゾリーニ 【構成・演出】川村毅 【出演】手塚とおる、谷部央年(俳優座)、河合杏南、大沼百合子、笠木誠、中村崇、柊アリス、真那胡敬二、蘭妖子