STAGE 何の変哲もない物語の裏に流れる濃厚な人間ドラマ

ONEOR8『そして母はキレイになった』

 ONEOR8の約1年3カ月ぶりの本公演。作・演出の田村孝裕が描く作品は、あらすじだけを追うとなんの変哲もない作品に見える。扱うのも親子、友人、隣人といったどこにでもある人間関係。奇抜な設定を用いることもめったにないのだが、登場人物たちの内面を深く描き、その感情と行動を丁寧に重ねていくことで他には出せない濃厚な物語に昇華させる。
 今回の舞台は姉妹(ともに30代)が営んでいる古めかしい喫茶店。常連客しかおらず、正直、経営は苦しい。父から継いだ喫茶店をどうするべきか、姉妹は悩んでいた。そんなとき、音信不通になっていた母が喫茶店へとやってくる。母は姉妹が幼少のころ、男を作って出て行ったきりだった…。

 ここ最近の公演ではお茶の間でも名の知れたタレントを起用する。田中直樹、ほっしゃん。、矢部太郎といったお笑い芸人を起用したときは、その新しい面を引き出した。山本裕典、柄本佑といった個性の強い俳優を起用したときも、その持ち味をうまく作品に取り込み、高い評価を得た。今回はタイトル通り「キレイになっていく」母役に高橋惠子を起用。あまりにハマリすぎのキャスティングに今から期待値は大きい。

【日時】9月8日(土)〜17日(月・祝)(開演は平日19時30分、土日13時30分/18時。8日(土)は18時のみ、9日(日)は13時30分のみ。17日(月)は13時30分開演。開場は開演30分前。当日券は開演1時間前から発売)【会場】赤坂REDRED/THEATER(赤坂)【料金】全席指定 前売3800円/当日4300円【問い合わせ】サンライズプロモーショ東京(TEL:0570-00-3337 〔劇団HP〕http://oneor8.net/)【作・演出】田村孝裕【出演】冨田直美、和田ひろこ、恩田隆一、野本光一郎、伊藤俊輔、山口森広、瀧川英次(七里ガ浜オールスターズ)、小野健太郎、保倉大朔、成田沙織/高橋惠子