STAGE MCR『肉のラブレター』

 作・演出の櫻井智也はちょっとばかり乱暴なところがある。しかしそれはシャイな部分の裏返しであり、その証拠に櫻井を「先輩」と慕う演劇の後輩は多い。その一方で、そう付き合いのない年配の人には「生意気」と思われちゃったりする、ちょっとばかり不器用な人であったりする。ついでにいうと、今年はMCRで2本、もうひとつの顔であるドリルチョコレート、小栗剛との「世田谷童貞機構」で1本ずつ、役者としても11月にブラジルで主演。合間にはNHKのラジオドラマの脚本などなど……これだけ忙しいから電話も止まっちゃう。人生に関してはホントに不器用。
 そんな櫻井の書く作品は、ふざけたお話や設定というオブラートに包んで、とても生々しい感情が描かれる。場面だけを切り取るとただひたすらにおかしいだけなのに、全体を眺めると割とウェットな話だったりして、見る側の油断を許さない。演劇に関してはホントに器用。
 今回は櫻井の父親がガンになったということで、ガンを題材に父親に捧げるお話になるという。ひとまずウェットな話題を振っておいて、舞台上ではいつものように巧妙な仕掛けを施すのだろうが、さてリアルに重いこのお話をどう料理するのか…。

【日時】12月19日(水)〜23日(日)(開演は平日19時30分、土日15時/19時。開場は開演30分前。当日券は開演の1時間前)【会場】駅前劇場(下北沢)【料金】全席自由 前売3000円/当日3300円【問い合わせ】MCR(TEL:090-4243-6100 〔HP〕http://www.mc-r.com/)【作・演出】櫻井智也【出演】櫻井智也、おがわじゅんや、北島広貴、上田楓子、小野紀亮、伊達香苗/堀靖明、百花亜希(DULL-COLORED POP)、金沢涼恵(クロムモリブデン)