ART ”銀”の向こうに思いをはせる
塚原琢哉写真展「続・銀の日記」
ストライプハウスギャラリー
12月17日(月)〜26日(水)
激動のポーランドを見つめ続けた日本人写真家・塚原琢哉の写真展。1981年に銀座・和光ホールで行った展覧会「銀の日記」に続く“その後”のポーランドを写した、未発表作品を紹介する。
塚原が初めてポーランドを訪れたのは1972年。社会主義体制下で息づく芸術の数々、苦悩を生き抜いてきた人々の姿を目の当たりした塚原は「戦争のメカニズムをあらゆる角度から見つけ出さなくてはならないと思った」との思いを抱いたと語る。塚原は、戦争の傷跡がまざまざと残る風景の中で、ひたむきに生きる人々の姿をとらえ、「銀の日記」として発表。高い評価を得た。
その後、ポーランドは1989年の無血革命を経て、EUに加盟。自由社会の風がポーランドを大きく変えていく。そんな中、塚原がカメラを向けたのは豊かさと進歩を享受する人々ではなく、そこに取り残された人々だった。塚原がEU加盟後のポーランドに度々訪れては、カメラにとらえたのは、過疎化した町のたたずまい。しかしそこには、苦難を乗り越えた平穏と、子供たちの笑顔がある。本展では、未発表のシルバープリント作品28点を展示。ノスタルジーとともに、クリスマスキャンドルのような温かく小さな光を感じるはず。