STAGE しんみりしたり笑ったり、よ〜く考えたり
七里ガ浜オールスターズ『オーラスライン』
月曜深夜の日テレ界隈や新宿のロフトプラスワン界隈、ホテルの検索サイト界隈で名を馳せる「赤ペン瀧川先生」のもうひとつの顔である「瀧川英次」が主宰する七里ガ浜オールスターズ。
瀧川は俳優としてはもちろん、演出も担当。脚本は昨年公開され、東京国際映画祭にも出品されたオウム真理教の平田信の逃亡生活をモデルにした『愛のゆくえ(仮)』で脚本と主演を務めた前川麻子の書き下ろし。
超大手のミュージカル劇団「春夏秋冬」のオーディション会場の控室にオジさん4人と若い女が1人。若い女はともかく、オジさんたちはここがそんなに大それた場所とは知らず集まってしまったもよう。というか、踊れるワケもなく歌えるワケもなく、そもそも年齢的にもアウトのオジさんたちはいったいなぜここにやって来たのか。オジさんたちがお互いを探るうちに見えてくるそれぞれの生活と苦悩。そして、ひょんな事から女の過去と現在が発覚し……。
経験豊富なオジさん役者たちが、自らの体験も入れ込み?妙に笑えて、しんみりさせられる作品に仕上がった。
燐光群『屋根裏』
今年創立30周年を迎えた燐光群の記念公演の第三弾は2002年に初演され、その後日本全国はもちろん、世界でも上演されてきた代表作『屋根裏』。
現代社会の問題のひとつとされてきた「ひきこもり」をテーマにしたこの作品。あまり自分にかかわりのない題材だと見る側はついつい俯瞰したまま見がちなのだが、ひきこもるための道具として「屋根裏」という具体的なものを存在させることで、見る側の思いは「ひきこもり」によりいっそう深く立ち入ることとなる。例えば、自分がそこに入っている状況を想像したり、自分が中にこもってしまっている者と小さな入り口を通じて交流するさまを思い浮かべたり…。
何年経っても色あせない必見の作品。