STAGE フィクションとノンフィクションの間を漂う
イキウメ『片鱗』
フィクションとは分かっていても、ストーリーが進んでいくうちに「もしや本当にあったことなのでは…」と思わせられる。そんな見る者の足元をぐらつかせる世界観がクセになるイキウメの新作公演。
最近はSF系の作品が多かったのだが、今回は久々に「ホラー」に分類される物語。
舞台はある郊外の住宅地。不審者がいるとの通報が増えたのだが、その不審者たちはどこからともなく現れ、消えていく。何をするわけでもなく、目を離すといなくなっている。「幽霊か…?」という噂も立つが、目撃者は皆「確実に存在していた」と話すのだった。果たしてあれはいったい何なのか…!?
客演に手塚とおる。よくよく考えたら、イキウメの物語世界にぴったりの存在。今まで出会いがなかったのが不思議ですらある。
【日時】11月8日(金)〜 24日(日)(開演は平日19時、土13時/18時、日13時。9日(土)は18時の回のみ。20日(水)は14時の回あり。月曜休演。開場は開演30分前。当日券は開演の1時間前)【会場】青山円形劇場(表参道)【料金】全席指定 前売4200 円/当日4400円【問い合わせ】イキウメ(TEL:03-3715-0940[HP]http://www.ikiume.jp/)【作・演出】前川知大【出演】浜田信也、安井順平、伊勢佳世、盛隆二、岩本幸子、森下創、大窪人衛、清水葉月/手塚とおる
パラドックス定数 第31項『殺戮十七音』
戦後の未解決事件や歴史上の著名人をモチーフに、ノンフィクションを越えたフィクションを構築するパラドックス定数。
作・演出を担当するのは野木萌葱。豊富な取材と大胆な解釈で史実に切り込む野木の脚本は、今まで教科書やさまざまな文献でしか知らなかった史実には、「きっとこんな知られざる一面があったに違いない」と思わせる迫力がある。フィクションと分かっていても。
今回の作品のテーマは「俳句」。
野木は俳句について「俳句の創作は、ものを見ることから始まる。ものを見て、心を動かし、その軌跡を詠みあげる。その純粋すぎる創作活動は、たった十七音に集約される。世界最短の定型詩に、無駄なものはありません」と語る。
五感のすべてを、限界まで研ぎ澄ませて、自分を世界を宇宙を、十七音に乗せる男たちのお話。いつにも増して、ストイックな男たちの予感。
【日時】11月19日(火)〜24日(日)(開演は平日19時30分、土15時/19時、日14時/18時。21日(木)と22日(金)は15時の回あり。開場は開演20分前。当日券は開演の30分前)【会場】荻窪小劇場(荻窪)【料金】日時指定・全席自由 前売3000円/当日3200円【問い合わせ】パラドックス定数(labo@pdx-c.com=公演前、TEL:090-1857-8496=公演中 [劇団HP]http://www.pdx-c.com/)【作・演出】野木萌葱【出演】植村宏司、西原誠吾、井内勇希、小野ゆたか