江戸瓦版的落語案内 Rakugo guidance of TOKYOHEADLINE ネタあらすじ編
落語の中には、粗忽、ぼんやり、知ったかぶりなどどうしようもないけど、魅力的な人物が多数登場。そんなバカバカしくも、粋でいなせな落語の世界へご案内。「ネタあらすじ編」では、有名な古典落語のあらすじを紹介。文中、現代では使わない言葉や単語がある場合は、用語の解説も。
商用で外出すると言って出て行ったが、なかなか帰ってこない商家の旦那に、焼きもち焼きの女房は気が気ではない。ほかの女のところに行っているのだと思った女房は、別の日に外出する旦那の後を小僧の定吉につけさせる。しかし定吉、尾行が下手で旦那に見つかり、逆に買収しようとして、妾宅に連れて行かれた。妾宅では食べ物や飲み物を与えられた上に小遣いまでもらい上機嫌。そこで定吉は独楽を発見。聞くとそれは辻占いの独楽といって、それぞれに旦那、本妻、妾の紋がついている。これを一度に回して旦那の独楽が妾の独楽にぶつかったら、妾の家に泊まる。本妻の独楽にぶつかったら本妻の家に帰るという。定吉はその独楽ももらい大喜びで奉公先に帰った。
定吉の帰りを待ち構えていた女房、さっそく呼び出し聞くと、旦那に言い含められたように「山田さんのお宅で碁が始まり、今夜はお帰りにならないでしょう」と嘘をつく。それを聞いて安心した女房は、定吉に肩を揉むように言いつける。しぶしぶ肩を揉んでいるとふとした拍子にふところから独楽が飛び出した。そんなものを買う金もない上、紋がついた独楽なので誤魔化しきれず、ついに妾宅でもらった辻占いの独楽だということを白状。怒った女房がやって見せろと定吉に言うので、実演すると独楽はくるくる回りながらツツーッと妾の独楽へ寄っていく。定吉「えーーっと、あちらにお泊りのようで…」。「なんですって!お前のやり方が悪いんじゃないのか?もう一度おやり」と再び独楽を回させる。「では」と定吉が独楽を回すと、女房の独楽が旦那の独楽に近づいていく。ハラハラしながら見守る女房の前で、旦那の独楽がスーっと逃げて、結局は妾の独楽へコツン。「…あちらにお泊りです」。「キーーーッツ腹の立つ! もう一回おやり」。何度も何度も定吉に回させるが、結果は同じで、旦那の独楽はどうしても妾の独楽へ当たってしまう。しびれを切らした女房「こっちへお寄越し!」と独楽を取ると、自分で回そうとするが、旦那の独楽がうまく回らない」。その独楽をじっと見ていた定吉「女将さん、これはまわらないわけでございます。旦那様の独楽を見てごらんなさい。心棒(=辛抱)が狂っています」