テイストは違えどどちらも”大人の芝居”

MONO『ぶた草の庭』

 MONOの作品を言い表すとするなら“絶妙”という言葉がふさわしい。設定の妙と笑いを交えた良質な会話劇でいつも観客をうならせる。それでいてなんともいえないペーソスや、社会的な問題を想起させるようなテーマを押し付けがましくない絶妙なさじ加減で盛り込んでくる。MONOはいわば“大人の芝居”だ。

 今回の舞台は古民家を再生して作られたカフェのようなスペース。そこに集まる人たちにはある共通に抱える事情があった。それは詳細は解明されていないものの、突然死してしまう病気の患者ということ。この病気にかかった人に対しては隔離政策が取られ、このカフェもそんな施設のひとつだった。死と隣り合わせでありながら、比較的穏やかに暮らす彼らだったのだが…。

 病気と死、希望と絶望…。この手の題材は取り扱いが非常に難しく、やる劇団によってはどシリアスで笑えなかったり、重すぎて見終わった後にどんよりしたり、無駄な主張が入ってしまって乗り切れなかったり…といった作品に陥りがちなのだが、多分そうはならない。あくまできっちり喜劇として成立させるところがMONOならでは。

【日時】2月21日(土)〜3月1日(日)(開演は19時30分、土15時/19時30分、日15時。21日(土)は19時30分の回のみ。開場は開演30分前。当日券は開演1時間前)
【会場】ザ・スズナリ(下北沢)
【料金】指定席4200円、ベンチシート(整理番号付自由席)3800円/早期観劇割引(21、22日) 指定席3700円、ベンチシート(整理番号付自由席)3300円/U−25チケット 2000円(対象25歳以下・要証明書提示。前売りのみ)
【問い合わせ】サンライズプロモーション東京(TEL:0570-00-3337 [劇団HP]http://www.c-mono.com/
【作・演出】土田英生
【出演】水沼 健、奥村泰彦、尾方宣久、金替康博、土田英生/山本麻貴、もたい陽子、高阪勝之、高橋明日香、松原由希子

日本の演劇人を育てるプロジェクト 在外研修の成果公演『The River』

 文化庁新進芸術家海外研修制度でロンドンに渡った演出家の青木豪が彼の地で出会い、「群を抜いて心ひかれた作品」がこの『The River』。青木の「日本で上演したい」という思いが実り、今回上演が実現した。

 作はロンドン演劇界で今最も注目の劇作家、ジェズ・バターワース。2012年10月の初演時は、連日早朝から当日券を求める列が絶えなかったといい、ブロードウェイでも昨年末から今年にかけヒュー・ジャックマン主演で上演された話題作。バターワースの作品は日本では初上演となる。

 舞台は“男”の別荘である、古びた小屋。男は崖の下に流れている川で何かに憑かれたかのように鱒釣り(フライフィッシング)に夢中になっている。その男の前にかわるがわる現れる2人の女たち。彼女たちとともに、男をとりまく現実は、不可思議にループし始める。果たして彼女たちは何者なのか?

 ストーリーが進むにしたがって、人とのつながり、愛、生きているということ、といったことがどんどん不確かになっていく。現実と幻想が交錯し、生と死の気配が漂う世界を、詩的で美しい言葉で綴る作品。

 主役の“男”を演じる岡本健一は青木が熱烈なラブコールを送り出演が決まったという。この岡本をはじめ実力派のキャストが揃った。

【日時】2月19日(木)〜26日(木)(開演は月木金19時30分、火水14時/19時30分、土13時/18時30分、日13時。開場は開演30分前。当日券は開演1時間前)【会場】東京芸術劇場 シアターイースト(池袋)
【料金】全席指定 6000円、U−25(25歳以下。当日受付にて指定席チケット引き換え。当日要年齢確認・枚数限定)4000円/プレビュー公演(19日)5500円、U−25 3500円
【問い合わせ】ゴーチ・ブラザーズ(TEL:03-6809-7125=平日10〜18時 [HP]http://www.Play-The-River.com
【作】Jez Butterworth【演出】青木 豪
【出演】岡本健一、南沢奈央、鬼頭典子、森尾 舞