時代と世代を超えて”性”について描かれた作品 『愛の漸近線』mizhen

 ENBUゼミナールで同じクラスだった3人の女性によって2012年に結成された演劇創作ユニット。

「mizhen」と書いて、「みずへん」と読む。この一風変わった名前は「演劇を観たことがない人にも、みずにはおれへん舞台を」という合い言葉からとのこと。

 その作品はリズミカルな長台詞とダンスさながらの身体表現を取り入れた演出が特徴。最小限の小道具や美術の中、役者の身体ひとつで想像力をかきたてるものとなっている。また近代戯曲と音楽を組み合わせたり、ライブハウスで「一人芝居音楽劇」といった形の公演を行うなど、ジャンルやスタイルにとらわれない活動を見せている。

 今回取り組むテーマは“男女の性”。主人公は一見仲睦まじく暮らす夫婦。妻はセックスレスに悩み、自分の“ひょうきんさ”を消すことにまい進する日々。夫は妻に内緒で借りたアパートで、ラブドールとささやかな時間を過ごすのが唯一の楽しみだった。一方、その隣の部屋には小遣い稼ぎのためにチャットレディーとして働く女がおり、モニター越しにその体をさらし、彼女に恋をする男はその動画を貪るように見ているのだった。

 この夫婦を中心に個人的な性への抑圧と個人的だからこそ生まれてしまうすれ違いを5人の人物を通して描く。“欲”に翻弄される現代人の心模様が浮き彫りにされる。

【日時】3月11日(水)〜15日(日)(開演は水19時30分、木金土14時/19時30分、日14時。開場は開演30分前。当日券は開演1時間前)【会場】小金井アートスポットシャトー2F(武蔵小金井)【料金】自由席 前売り2800円、当日3000円【問い合わせ】mizhen(TEL:080-3701-0912[HP]http://www.mizhen.info/)【作・演出】藤原佳奈【出演】佐藤幸子(mizhen)、佐藤蕗子(mizhen)、白井珠希、中田麦平(シンクロ少女)、橋本拓也〈五十音順〉