ハリルジャパン2連勝スタート
3月にサッカー日本代表新監督に就任したハリルホジッチ監督の初陣となる国際親善試合チュニジア代表戦(3月27日、大分・大分銀行ドーム)とウズベキスタン代表戦(3月31日、東京・味の素スタジアム)が行われ、日本代表は2−0、5−1で2連勝を飾った。
チュニジア戦は監督が戦前「たくさんプレーしてこなかった選手を使いたい」と語ったとおり、初代表のDF藤春、FW川又がスタメンに名を連ねた。FWも右に永井、左に武藤と若い世代が起用される。また大分トリニータで育ったMF清武がコールされると会場には一際大きな歓声が上がった。
前半は両サイドのスピードのある永井と武藤がDFの裏を狙い、そこにロングパスを出すという決め事があったのだが、ボールを奪っても横パスや細かいパスを出す場面が見られた。しかしそんななかでも永井、武藤は積極的に裏を突く動きを見せた。川又は前半21分には清武のコーナーキックを頭で合わせるも惜しくもクロスバーを叩き、代表初ゴールを逃す。しかしその打点の高さに大きな印象を残した。藤春もフリーキックのキッカーを務め、フル出場を果たすなど、新戦力が期待を裏切らない動きを見せた。
初得点は岡崎のヘッド
しかしなかなか点を取るには至らない。
そんなムードを打破したのはこれまで代表を守ってきた選手たちだった。
後半15分、永井と清武を下げ、本田と香川を同時投入すると試合が動き出す。27分には、武藤と川又を下げ、岡崎と宇佐美を投入。これで日本は完全に攻撃の主導権を握り。33分にはボールを持った香川がドリブルで切り込み、左の本田にパス。本田は倒れ込みながらクロスを上げると岡崎がドンピシャのタイミングでヘディングシュートを決め、先制。記念すべきハリルジャパンの初得点となった。
押せ押せムードの日本は38分には、本田からのパスを宇佐美、岡崎、香川とつなぐ。そして香川がペナルティーエリア左から上げたクロスをGKがはじいたところゴール前に詰めていた本田が滑り込みながら決め、2点目をあげた。
終了間際には香川のスルーパスに反応した宇佐美が右足でシュートを放つも、惜しくもポストに当たり、代表初ゴールを逃した。
2−0で初陣を飾ったハリルホジッチ監督は試合後「選手を褒めたい。スタートから勇気とやる気を見せてくれた。彼らにブラボーと言いたい」と選手をねぎらった。そして前半のボールを奪った後のパス回しについて「ボールを奪ったあとのゲーム支配にはまだ満足していない。奪ってからの最初のパスがまだ十分ではない。奪ったあとに短いパスを使い過ぎ。もっと長いパスを使いたい。スピードを求めたので、速すぎたところもあった」と改善点もあげた。また本田と香川については「彼らは自分たちのクオリティーを見せてくれた。日本代表のキーとなる選手だと思う。彼らには厳しい要求をした。この2人が自分の能力をすべて出せば、ゲームが変わるというのを見せてくれた。テクニックだけでなく、規律、丁寧さ、勇気、守備のアグレッシブさも見せてくれた。チーム全員がこれを見せないといけない」と語った。
交代選手たちが大活躍
チュニジア戦後の会見で「次の試合は、また違うメンバーで臨もうと思っている。多くの選手に機会を与えたい」と語った通りウズベキスタン戦では先発メンバーを一新。DFの昌子が代表初出場。また途中交代を含め、GK以外の招集メンバーをすべて起用した。
試合は前半6分に、乾のコーナーキックをGKがパンチングでクリアしたボールを青山が右足のボレーシュートで豪快に叩き込み先制。青山は代表初ゴールとなった。この試合では、少ないタッチ数でパスをつなぎ、相手ディフェンスラインの裏を狙って積極的に走った。しかし最後のシュートの精度を欠き、なかなか追加点は奪えない。
後半スタートから太田、水本を投入。9分にはその太田からのクロスに岡崎がダイビングヘッドで2試合連続弾。18分に宇佐美、24分に柴崎、27分に大迫、38分に川又が投入される。35分には柴崎が相手のセットプレーからのこぼれ球を奪うと、大きく前に出ていた相手GKの位置を確認し、ロングシュート。ボールを追ったDFを岡崎がブロックし3点目となった。直後にコーナーキックから1点を失うが、38分にはドリブルで持ち込んだ宇佐美が右足で決め4点目。45分には森重が折り返したボールを川又が頭で押し込み5点目。宇佐美と川又はともに代表初得点。5−1でハリルジャパンは2連勝を飾った。
後半に交代した選手たちが次々と得点にからみ、4点をあげた。監督は試合後の会見で「後半ですけど、われわれはブロックを引けといった。これはわなです。これが戦術です。相手を来させて、ボールを奪って、素早く攻めろと。それで4点取れました。いつも用意しておけよと。いつも低い位置をとって。これが戦術を操るということです」と語った。今回多くの選手を起用したが、「日本のすべての選手を見たい」と、今後も代表メンバーを固定するつもりはないようだ。
また柴崎の得点シーンについては「岡崎が点を取りそうになったんですが、わざと柴崎に点を取らせました。これは素晴らしい。珍しい。どこにも存在しません。素晴らしいこと。これが一番スペクタクルかもしれません。チームのために彼はああいう行動をしました」と岡崎を称えた。