ZST.46 柏崎が絶対王者・藤原破り第2代バンタム級王者に輝く
総合格闘技「ZST.46」が24日、東京・ディファ有明で開催され、メーンで行われたZSTバンタム級タイトルマッチで、挑戦者・柏崎剛が王者・藤原敬典を3-0の判定で破り第2代王者に輝いた。
藤原はこれまで4度の防衛に成功し、“絶対王者”とも称されるZSTのエース。柏崎は弱冠19歳で“ZST超新世代のエース”と期待される存在。プロデビュー以来無敗でこのステージに上がってきた。
柏崎は1R序盤に右ストレートで藤原からフラッシュダウンを奪うと、その後もタックルからテイクダウン。藤原がコーナーを利してスタンドに戻しても、執拗にタックルを仕掛け、足を払ってテイクダウンに成功するなど、主導権を握る。2Rも同様の展開で柏崎がグラウンドで圧倒するとコーナーに戻った藤原にはやや焦りの表情が浮かんだ。3Rは序盤から藤原の打撃が当たり始め、ペースを取り戻すが、柏崎は終盤、タックルからテイクダウンを奪い、なんとか持ちこたえる。4Rも藤原の打撃でひやりとする場面もあったが、やはりパンチをかいくぐってのタックルでテイクダウンを奪い、完全には主導権は渡さない。柏崎は5Rもタックルで藤原の打撃をしのぎ切り、最後はパウンドでまとめ、判定で勝利を収めた。
柏崎は試合後「これからはフライ級王者の(伊藤)盛一郎さんとZSTを全盛期みたいにします。目標はK-1と同じ代々木体育館でやることです」と新世代のエースとしての目標を掲げた。
セミファイナルではZSTウェルター級タイトルマッチが行われ、王者・濱岸正幸が高橋弘を3-0の判定で破り、初防衛に成功した。
今回の防衛戦はもともとは山田崇太郎が挑戦するはずだったのだが、美輪明宏の舞台『黒蜥蜴』への出演と重なったため、挑戦者が高橋に変更されたという経緯があった。
濱岸の投げと寝技、高橋の打撃と焦点のはっきりとした試合。ジャッジ三者が50-45のフルマークと結果的には濱岸が圧倒したが、随所で放たれる高橋のパンチを食らい顔面を腫らした濱岸は試合後「毎回こういう試合になってしまう。もっと一本で勝てるように練習を頑張ります」と反省の弁だった。
またこの日は4月に1回戦が行われた第二代GT(グラップリング)タッグ王者決定トーナメントの決勝戦が行われ、宇野薫、植松直哉組が戸井田カツヤ、齊藤曜組を破り、新王者に輝いた。
試合は15分3本勝負でタッチは5回まで。一本取られた選手は退場というルールで行われた。
先発は植松と齊藤。開始早々にバックマウントを奪い、その技術の高さを披露した植松だが、齊藤はそれをしのいで足関節を狙う動きを見せる。植松はその動きに合わせマウントを奪うなど、静かながら息をのませる攻防が続く。
5分を前に植松が宇野にタッチ。宇野と齊藤も腕のたぐり合いからグラウンドに移行。植松との攻防でやや疲れの見える齊藤を宇野がスリーパーホールド、横三角絞めで追い込む。一連の動きの中でも、コーナーから植松の「丁寧に。ちゃんと乗る!」といったアドバイスが宇野に送られる。
なんとか脱出した齊藤は“たまらん”とばかりに小走りでコーナーに戻り、戸井田とタッチ。宇野も植松とタッチし、宇野との対戦を目論む戸井田はお預けを食らい、戸井田vs植松の展開に。
足関節を狙った戸井田だったが、植松も下から戸井田をコントロール。戸井田が上に乗ったところを下から強烈なアンクルホールド。ロープ際で逃げ場のなかった戸井田にはタップしか残された手段はなかった。
まだ疲れが残る齊藤がリングインしたが植松が速攻で腕ひしぎ十字固めを決め、試合を終わらせた。
リング上で植松は「宇野さんとこうやって組んで、試合ができてベルトも巻けて感無量」、宇野は「5月で40歳になりました。10月にはデビュー20周年になります。これからも総合格闘技、グラップリング、柔術にもチャレンジしたい」と挨拶した。
今回のトーナメントでは最近のリングではなかなか見られないようなグラウンドテクニックが披露されるなど、新しいファンにも格闘技の面白さをアピール。また植松、齊藤といった実力のある選手たちに改めて焦点があたるなど、思わぬ副産物もあった。
試合後の会見で宇野は「少しでも組み技競技、グラップリングの面白さに気づいてくれればいいなと思う」とコメント。大人の格闘技としてのグラップリングの今後にも注目したいところだ。