時代と、向き合うART展2本

ニキ・ド・サンファル展
国立新美術館 9月18日(金)〜12月14日(月)

 戦後を代表する美術家の一人、ニキ・ド・サンファル。昨年パリで約60万人を動員した大規模回顧展を軸に、日本とニキとの関わりにも光を当てて、100点を超える作品や貴重な資料とともに、半世紀にわたって時代と向き合い続けたアーティスト・ニキの軌跡に迫る。10代のころに雑誌のモデルを務めていたニキは、1961年に発表した“射撃絵画”で一躍、注目を集めた。絵具入りの容器が埋め込まれたレリーフや彫刻をライフルで撃つことで完成させる射撃絵画は、絵画と彫刻の両方の要素を兼ね備え、また制作行為そのものがパフォーマンス・アートの先駆例として美術史上高く評価されている。その後もニキは、少女時代を過ごしたアメリカや母国・フランスの抽象絵画の影響を受けながらも独自のスタイルを作り上げ、戦争や人種差別、社会における女性のあり方などを主題とした作品を数多く残した。

 ニキの生誕85年目に開催される本展では、初期から晩年の創作活動をたどりながら、日本との関わりにも光を当て、その個性的で豊かな芸術世界に触れてみよう。

【時間】10〜18時(金曜は20時まで。入場は閉館の30分前まで)【休】火曜(9/22、11/3は開館)、11/4【料金】一般1600円、大学生1200円、高校生800円【問い合わせ】03-5777-8600(ハローダイヤル)【交通】地下鉄 千代田線 乃木坂駅 6番出口(美術館直結)【URL】http://www.niki2015.jp/

Don’t Follow the Wind Non-Visitor Center 展
ワタリウム美術館 9月19日(土)〜10月18日(日)

 今年3月11日から、東京電力福島第一原子力発電所周辺の帰還困難区域内で開催されている国際展『Don’t Follow the Wind』展(以下:DFW展)。元住民によって提供された区域内のさまざまな会場に、艾未未やChim↑Pomら国内外12組のアーティストによる作品が展示されている。しかし、会場は立ち入りが制限された危険な場所のため、一般公開はされておらず、帰還困難区域内の閉封鎖が解除されるまで、現地に見に行くことができない。この展覧会は現状に対する応答でありながらも、人々の目に触れるのは、いつとも分からない先のこと。鑑賞者のいない場所で、それでも人間の思いを背負って、その場所に存在し続ける作品たち。その空間を束の間、共有することができるサテライト展が、東京のワタリウム美術館にて開催となる。同会場では、DFWにまつわる資料や、帰還困難区域内に設置された作品に関連した各作家の作品の他、ドキュメントとして映画監督・園子温による映像インスタレーションなどを展示する。

 さまざまな角度から示された視点で“その場所”に意識を向ける、重要な機会となるはず。

【時間】11〜19時(水曜は21時まで)【休】月曜(9/21、10/12は開館)【料金】大人1000円、学生800円、小中生500円 70歳以上700円【問い合わせ】03-3402-3001【交通】地下鉄 銀座線 外苑前駅より徒歩8分【URL】http://www.watarium.co.jp/