米大統領選幕開け 民主党はヒラリー氏が勝利
米大統領選がついに本格的に動き出した。11月8日の本選に向けた民主、共和両党の候補指名争いの初戦、アイオワ州党員集会が1日夜、州内約1700カ所の会場で実施され、民主党はクリントン前国務長官(68)の陣営が2日未明に勝利宣言。得票率の差は1ポイント未満の接戦だった。
民主党の発表によると、クリントン氏と無所属のサンダース上院議員(74)の得票率の差は0.2ポイントの小差。州都デモインなどにある少なくとも6つの会場でコインの裏表で勝敗を決めるコイントスを行い、いずれもクリントン氏側が勝ったもよう。
同党の代議員44人のうち、クリントン氏が22人、サンダース氏が21人を獲得したとみられる。
女性初の大統領を目指すクリントン氏は、オバマ政権の継承を訴え、世論調査で全国の首位。アイオワ州では若年層の支持を集めるサンダース氏に肉薄された。
共和党はクルーズ上院議員(45)が不動産王、トランプ氏(69)を破って勝利し、ルビオ上院議員(44)もトランプ氏に肉薄して3位に付けた。上位3人はいずれも20%台。獲得代議員数はクルーズ氏が8人、トランプ氏とルビオ氏が各7人。
共和党は信教の自由を訴えるクルーズ氏が組織選挙を展開。保守的なキリスト教福音派の影響力が強いことが有利に働いたとみられる。
トランプ氏は一歩及ばなかったが、強硬保守派の2人が上位を占めた。
予備選・党員集会の第2戦は2月9日のニューハンプシャー州予備選。今年6月まで順次、各州や自治領などで開催され、7月の党全国大会で候補に投票する「代議員」の獲得を競う。過半数を得た候補が正式に党の指名を受け、11月8日の本選に臨む。
トランプ氏は逆転負け
今回の米大統領選で良くも悪くも最も注目を集めているのが、共和党候補のトランプ氏。さまざまな問題発言を放ちながら、政治専門サイト「リアル・クリア・ポリティクス」の事前世論調査での支持率は33.2%と首位を保っていた。
今回の共和党の党員集会は、政治の門外漢であるトランプ氏による「トランプ現象」が“本物”かどうかを占う試金石として注目されていた。結果はクルーズ氏の得票率は27.6%、トランプ氏は24.3%。トランプ氏は逆転された上、実際の得票率は世論調査の支持率とは大きな違いを見せた。「トランプ氏に核のボタンを委ねていいのか」といったブレーキが、いざ投票となり働いたものとみられる。