元K-1 WORLD MAX日本トーナメント準優勝の山本優弥が引退式

左から佐藤、山内、山本、城戸、牧平(撮影・神谷渚)

 K-1 WORLD MAX、Krushなどで活躍し、2月に引退を表明した山本優弥の引退セレモニーが4月10日に東京・後楽園ホールで開催された「Krush.65」(4月10日、東京・後楽園ホール)で行われた。
「叫ぶ大和魂 卒業式」と銘打たれたこの日のセレモニー。山本は試合用のガウンで入場し四方に深々と頭を下げると、その場で短いシャドーを見せる。
 そして牧平圭太、城戸康裕、山内佑太郎、佐藤嘉洋といったライバルたちが駆けつけ花束を渡した。
 山本は挨拶で「このリングから話をさせてもらうのは最後だと思うんですが、みなさんにお礼を言う前に、リングはは血のにじむような努力をして、試合をするために上がる場所。マイクを持てるのも勝者、選ばれた人間だけです。試合もできないくせに、やめてしまうのに、ここから物を言うのを許してください。このリングに大きい男2人が入ったら凄く狭いんです。僕はいつも試合前は緊張しないよう、上がった時も緊張しないように何も考えないようにしましたが、相手が目の前に来たら凄い怖かったです」と涙ぐんだ。

10カウントゴングを聞く山本(撮影・神谷渚)

 そして「応援してくれる人、見に来てくれる人がいなければ、僕の存在価値は全くないことはずっとわかっていました。11歳で空手を始めて、何も一生懸命になれる人間じゃなかったんですけど、技の上手な先生、先輩にあこがれて、キックボクシング、空手、K-1、Krushを一生懸命やってきました。14年も続けられたのは今でも不思議です。僕を見に来てくれる人がいなければ試合をしても意味がない。見てくれる人に何を感じて帰ってもらいたいかいつも考えながらトレーニングしていました。僕は何もできない。でもここに上げてもらうことができるように先生に教育していただけました。命を懸けて戦って来たけど、体が無理になりました。生きて、このリングを降りられることをうれしく思います。一方で命を懸けてリングに立ってきたので、生きてリングを降りることが恥ずかしい気持ちでいっぱいです。僕は空手を始めた時から教育者になりたかったです。今日のトランクスには今までのスポンサーの名前を全部入れています。スポンサーさんは僕を教育してくれた方々だと思います。僕を教えて良かったと思ってもらえるよう、心の強い人間を育てる教育者になります。いつもいっぱい話し過ぎるんで、変なふうになる前に。リングをここで降りますが、選手としての山本優弥だけでなく、リングを降りて引退しても仲良くしてもらえれば嬉しく思います。2016年4月10日、山本優弥はここで引退します。ありがとうございました」と話し、10カウントゴングを聞いた。
 山本は通戦63戦34勝(12KO)28敗1分け。2007年に全日本キック第23代ウェルター級王座を戴冠。2009年と2011年の『K-1 WORLD MAX』では日本トーナメントで準優勝。2009年には同世界トーナメントで日本人最高位の3位の成績を残した。
 最後の試合は昨年2月の小鉄戦だった。