4・17『RIZIN.1』プロハースカが藤田に圧勝 女子レス村田は悔しい判定勝ち
昨年末に開催された『RIZIN』のナンバーシリーズの第1弾となる『RIZIN.1』が4月17日、愛知・日本ガイシホールで開催された。
メーンではイリー・プロハースカが藤田和之と対戦。1R3分18秒、TKOで勝利を収めた。プロハースカは昨年行われた100kgトーナメントで準優勝し、この日出場したテオドラス・オークストリス、ワジム・ネムコフとともに“RIZIN三銃士”と称されるヘビー級期待の新星。藤田は言わずと知れた日本総合格闘技界のヘビー級を支えてきた存在。23歳vs45歳という世代の威信をかけた戦いでもあった。
蹴りで牽制するプロハースカに対し、タックルで臨む藤田。足をつかむものの、テイクダウンには至らない。しかしプロハースカの右ハイキックを交わすと藤田はバックを取ってパンチの連打。かつての藤田だったら試合はここで秒殺決着だったかもしれない。
しかしプロハースカはこのピンチにも動じず冷静に立ち上がる。そしてプレッシャーをかけて藤田をコーナーに追い詰めると左ジャブ、右ストレート。崩れ落ちる藤田に返しの左フックも決めダウンを奪うとレフェリーが試合を止めた。
桜庭和志、ヴァンダレイ・シウバ、田村潔司というそれぞれに因縁を背負う3人が一堂に会した「グラップリングダブルバウト」も大きな注目を集めた。試合はこの3人に所英男を加え、桜庭、所組vsシウバ、田村組で行われた。田村、シウバ、所、桜庭の順で1人ずつ登場。それぞれのテーマ曲が流れただけで会場は大きく沸いた。
試合は15分3本勝負。タッチは5回までというルール。先発は桜庭とシウバだったが、13年ぶりに肌を合わせるのが慣れないグラップリングルールとあって互いに探り合いに終始してしまう。試合が動いたのはともにタッチし田村と所の対戦になってから。所はいきなり飛びつき、引き込みを狙うなどアグレッシブに仕掛けると、田村も呼応するように得意の“回転体”の動きを見せる。ファンが期待する桜庭と田村の手合わせは開始10分でやっと実現。
田村は巌流島(3月25日)での試合で顔面骨折のケガを負い、この日はフェイスガードをつけての出場だったのだが、桜庭はフェイスロック、ジャーマン気味の投げなどシビアな攻撃を見せた。
結局どちらも一本を取ることはできずドローとなったが、随所に通をうならせる攻防が盛り込まれた試合となった。
この日は女子の試合が3試合組まれた。中でも注目を集めたのは女子レスリングの村田夏南子の総合デビュー戦。村田は2011年の全日本選手権では吉田沙保里から序盤にポイントを奪い勝利目前まで追い詰め、2020年の東京五輪代表も狙う逸材。対戦相手のナタリア・デニソヴァはアマを含めMMAで6戦4勝2敗の戦績を持つロシアの25歳。
村田は1R開始早々、高速タックルから高々とリフトしあっさりテイクダウン。しかしデニソヴァも下から三角絞めを狙うなどしぶとく反撃。村田はアームバーからデニソヴァの左腕をアームロックにとらえ絞り上げる。かなり危ない方向に腕が曲がっていたものの、デニソヴァは驚異的な関節の柔らかさと巧みなポジション取りでゴングまでしのぎ切る。
2Rも村田は序盤からタックルでテイクダウンに成功するものの、攻めあぐねるうちにデニソヴァの下からの腕十字につかまる展開に。終盤は腕を固定してのパウンド連打で決めにかかるが、デニソヴァの粘りの前に、フィニッシュには至らない。
3Rは上四方から腕十字を狙うが、ここまでの攻撃で自らの腕がパンパンになっていたこともあり、デニソヴァのクラッチを外すことができず、試合は判定へ。圧倒的な判定勝利ではあったが、試合内容に納得のいかない村田は試合後のマイクで「しょっぱい勝ち方ですみません。榊原社長、もっと練習して、上目指せる選手になれるよう頑張ります」と悔しさをにじませた。