それだけで、アート。ナチュラルな美を見つめる写真展 W.H.フォックス・タルボット写真展「自然の鉛筆」

東京工芸大学 写大ギャラリー 開催中〜6月5日(日)
「自然の鉛筆」#5 パトロクロスの胸像

 ネガ・ポジ法写真術の発明家ウィリアム・ヘンリー・フォックス・タルボット(1800〜1877)のオリジナルネガからプリント制作された作品を紹介する写真展。

 1839年、世界初の写真術としてフランスで発表されたダゲレオタイプ(銀板写真)は、金属板の表面に像を直接焼き付けるもので、複製ができない一点限りの写真。一方、ほぼ同時期にイギリスでタルボットが考案したカロタイプは、一枚のネガから複数のポジ像を得られるもので、複製技術としての近代写真の基礎となっている。本展では、1844〜46年にかけてタルボットが制作、発行した世界で最初の写真集『自然の鉛筆』から、同ギャラリーに収蔵する作品を展示。これは、1977年にイギリスのフォックス・タルボット美術館の協力のもと、同ギャラリーが日本で初めてタルボット展を開催した際に借り受け、その後コレクションとして収蔵したもの。タルボットが制作した時代の紙質ときわめて近い紙を特別に用意し、当時の処方で乳剤を作り、塗布した印画紙に、オリジナルネガから、1970年代前半にタルボット美術館にてプリントされた。

 デジタル全盛の今、改めてタルボットが示唆した、写真の本質について見つめ直してみたい。

W.H.フォックス・タルボット写真展「自然の鉛筆」
東京工芸大学 写大ギャラリー 開催中〜6月5日(日)

【時間】10〜20時
【休】会期中無休
【料金】入場無料
【問い合わせ】03-3372-1321(代)
【交通】地下鉄 中野坂上駅1番出口より徒歩7分。東京工芸大学中野キャンパス 芸術情報館2階
【URL】 https://www.t-kougei.ac.jp/arts/shadai/