趣は違えど異端な2作品 太宰治作品をモチーフにした演劇 第13回『逆光、影見えず』

(写真・保坂萌)

「太宰治作品をモチーフにした演劇」は平成16年から始まった三鷹市芸術文化センターの名物企画。そのタイトル通り、太宰の作品をそのまま、もしくはモチーフとしながら太宰のエッセンスにあふれたオリジナル作品を作り上げるというもの。

 今年はMCRが、太宰治の初期の短編『逆行』をベースに “どうにもならなかった男”が「何がどうして」どうにもならなかったのかを、明るい罵詈雑言を交えてにぎやかに振り返りつつ、結果、終末へと進んでいく様子をユーモラスに描くという。

 本作の作・演出を務める櫻井智也は太宰の初期の作品に漂う「満たされ無さ」という感覚が「自分が日々抱いている思いに、とても近い」ということから本作を選んだという。

 太宰といえば作家としては「無頼派」と称され、私生活では数多くの女性遍歴を重ね、自殺未遂を繰り返し、最後は入水自殺を完遂させるという筆舌に尽くしがたい人物。櫻井にも太宰と通底するところは間違いなくある。相変わらずナイスな人選。

太宰治作品をモチーフにした演劇 第13回『逆光、影見えず』

【日時】6月24日(金)〜7月3日(日)(開演は平日19時30分、土日15時。29日(水)は15時の回あり。2日(土)は19時の回あり。月曜休演。開場は開演30分前。当日券は開演45分前)
【会場】三鷹市芸術文化センター 星のホール(三鷹)
【料金】全席自由・日時指定・整理番号付き 前売3000円、当日3300円/早期観劇割引(24〜26日)、平日マチネ割引(29日15時)前売2700円、当日3000円/学生:前売・当日とも2000円(当日学生証拝見)、高校生以下:前売・当日とも1000円(当日学生証拝見)
【問い合わせ】三鷹市芸術文化センター(TEL:0422-47-5122 [劇団HP] http://www.mc-r.com/
【作・演出】櫻井智也【出演】小野ゆたか(パラドックス定数)、岡田瑞葉、川島潤哉/堀靖明、日栄洋祐(キリンバズウカ)、三瓶大介/川村紗也、後藤飛鳥(五反田団)、道田里羽/櫻井智也、おがわじゅんや、北島広貴、伊達香苗