【長島昭久のリアリズム】参院選の総括—今こそ「万年野党」からの脱却を!

 今夏の参院選は、自民党が27年ぶりの単独過半数を確保し、「改憲勢力」が議席数の2/3を超え、野党惨敗の結果となりました。しかし、この「改憲勢力」という言葉自体、最初から意味不明で、野党・民進党の中にも私をはじめ憲法改正が必要だと考える議員は少なくありません。単純に民進・共産・社民・生活の党以外を「改憲勢力」とひとくくりにして攻撃する手法は、有権者を惑わすものでした。

 岡田代表も枝野幹事長も「6年前に獲得した改選議席を大幅に下回ったものの、3年前に比べれば倍増したので前進だ」と盛んに強弁しています。しかし、私は、民進党は、今や共産党の支援なしには自公勢力と闘えないレベルにまで衰弱してしまったのではないかと深く憂慮しています。なぜなら、得票・政策両面で、国民の抱く民進党イメージが「政権を任せられる政党」からかけ離れつつあるからです。

 得票面では、北海道や東北の一人区での健闘が言われていますが、実態は、自民党がTPP推進に舵を切ったことで巻き起こった農村部の怨嗟の声をテコにして得た辛勝です。事実、これまで一貫して自民支持で来た東北5県の農業団体は、今回自主投票を決めました。一方、西日本エリアでは大分選挙区以外は、共産党の手厚い支援を受けながらことごとく惨敗しています。複数区でも、大阪や兵庫といった都市部での獲得議席はゼロでした。

 一方、政策面では、報道によると、新たに有権者となった18歳、19歳の約4割が与党に投票し、民進党へは2割程度にとどまりました。「人への投資、未来への責任」を訴えた民進党が最も力を入れた政策が「こども・子育て・女性・若者」だったにもかかわらずです。消費税率引き上げを先送りし(おまけに、必要な財源を次世代にツケ回す国債に頼り)、選挙戦で「憲法改正阻止」を中心に訴えた民進党に、将来不安を抱える若い世代からの支持は集まらなかったのです。

 今の民進党は、「眼前の敵である安倍政権に打撃を与える」ことに血道を上げるあまり、その先にある、国民への大事な政策メッセージ—たとえば、こども達や若者や女性の輝く未来をどのように実現していくか—を自ら放棄しているのではないか。限界に突き当たったアベノミクスに代わる経済・社会政策を国民の前に提示し、明確な方向性を示さない限り、それは政府への単なる批判や揚げ足取りに過ぎず、永遠に国民の支持も信頼も獲得することのない「万年野党への道」に他なりません。

 今世紀に入って、国民が野党に期待し続けてきたことは、与党と政策で切磋琢磨し、いつでも政権を担える「政権準備政党」だったはずです。だからこそ私は、平成12年当時、野党第一党だった民主党に参画し、国政に初挑戦したのです。今あらためて「政治は絶望との闘いだ」との言葉を噛みしめ、ふたたび政権を担い得る現実的な野党勢力を結集するため、全力で立ち向かって行くことを心に誓うものです。

 自由闊達に憲法や安全保障を論議し、自公政権では踏み込めない経済構造改革や子育て支援強化策、それに伴う日本的な長時間労働の抜本改革などに果敢に取り組む「政権準備政党」としての真のリーダーシップ確立に向けて、私、長島昭久はその先頭に立つ覚悟です。(衆議院議員 長島昭久)