豊洲市場「盛り土」問題 都が自己検証報告も肝心なところは…

定例会見で豊洲市場の盛り土問題について語る小池都知事

 東京都の小池百合子知事は9月30日の定例記者会見で、豊洲市場の盛り土問題で、9月いっぱいを期限としていた調査報告書が事務方から届いたこと、そしてその中身を発表した。
「豊洲市場の地下空間設置と盛土がなされなかったことに関する自己検証報告」というタイトルの報告書について、まず小池氏の口から「重要な2点」が語られた。
 それは「いつ、どの時点で誰が決定して、盛土をしないことになったのか」と「なぜ、都議会、都民等への説明責任を果たしてこなかったのか」という2つ。
 小池氏は報告書を受けたうえで「今回の事態を招いた最も大きな要因は、ガバナンス、責任感の欠如。前の答弁をそのままコピーするといったような点、それからチェックが不足している点、さらには意思決定プロセスの不備。職種間での連携の不足」といった原因をあげ、「個人の問題もありますが、一言で言えば組織運営上のシステムの問題ということもあり、だからこそむしろ問題なのだと思っています。だからこそ都政大改革なのだというふうに思っております」と語った。
 そして今後の対策として「公益通報制度」を設けることを準備をしていることを明かした。公益通報というのは職務遂行上の法令違反を通報する制度で、いわゆる内部告発。現在、通報の受け皿を弁護士事務所にするなど、内部告発者が不利益を被らないような、通報のしやすい環境を整えているという。
 また、今回の問題を踏まえ、都庁のマネジメント、ガバナンス機能を強化すべく「都庁マネジメント本部」を設置。これは副知事、各局長らが参加して縦割りを超えて情報を共有していくためのもので、この日午前に早速第1回目の会議が開催されたという。

東京都中央卸売市場長の岸本良一氏、中西充副知事、東京都中央卸売市場次長の澤章氏(左から)

 この小池氏の定例会見の後に、中西充副知事、東京都中央卸売市場長の岸本良一氏、同次長の澤章氏らによって自己検証報告書の詳細が説明された。
 147ページに及ぶ添付資料一覧を含む4つの書類を配布し、時系列を追って、その時々にどのように事態が流れていったかを説明したのだが、結局「誰が」「なぜ」といった肝心なところは玉虫色。
 突き詰めていっても「当然、盛土がなされているものと思っていた」といった内容に行きついてしまい、その原因としてあげられるのが「コミュニケーション不足」という単語。
 果たしてこれで納得する都民はいるのだろうか。