“ぼんやり”を“ハッキリ”へと導きます! 起業支援のための“ハブ空間”SHTの役割
「起業とは誰にでもあり得る、人生の選択肢の一つです」
この施設の目的を聞かせてください。
「SHT創設の目的は、創業者を増やす、創業率を上げるのが大きな狙いです。創業率自体は、ここ10年の間ほとんど横ばい状態なのですが、創業を考える人の数が半分に減ってしまっているんです。少子高齢化も踏まえると日本の創業者の数が今後、大きく減ることが予想されます。では、なぜ創業者を増やさなければならないかというと、創業することで新しい産業と雇用が生まれてくるからなのです。産業発展には新陳代謝が必要ですし、新しい産業が生まれなくなれば日本の経済や社会にも大きな影響が出るでしょう」
つまり“起業を計画している人”のための施設なんですね。
「起業もアリかもな、くらいの人でもいいんですよ(笑)。創業希望者は4段階に分けることができます。第1段階は潜在的創業希望者。簡単にいうと、ぼんやり創業を考えている人。第2段階が初期創業希望者。意志を持っていろいろな情報を集め始めた人。第3段階は起業準備者。実際に事業計画作りに入り資金調達など、具体的な準備をしている人。そして第4段階が創業者。すでに数多くの自治体や企業でも創業支援を行っていますが大抵、第3?4段階の人たちが対象なんですね。具体的な準備段階にない人に資金のサポートなどできませんから、これは当然のことです。とはいえ第1?2の人を増やさないと第3?4の人も増えないわけで、そのための施設としてここでは主に潜在的・初期的創業希望者をサポートしてくことになります。会社を作ってみようかなとぼんやりと考えている人が気軽に相談できて、起業を現実的に考えられるような情報、知識を得ることができる場所。それがSHTのコンセプトです」
実際に起業できるか不透明な人でも相談に来ていいんですか?
「意志とアイデアはあるけど、結局起業できない人はけっこういると思います。中小企業庁のアンケートデータによると、最初の2段階の人が次へ進めない大きな理由として、“周囲に相談できる人がいない”ということが上げられています。SHTでは、我々コンシェルジュが相談を受けながら、まずは漠然とした不安を払しょくすること。そして起業までのプロセスを可視化することを目指します」
コンシェルジュ、という呼び名も気軽に相談できそうなイメージです。
「SHTのコンシェルジュは、普段は企業コンサルタントや創業支援をしている方々なんです。起業コンサルタントが具体的な事業計画づくりのサポート役、指南役とすれば、コンシェルジュは相談者にとってのメンターという性格付けになると思います。相談者と一緒に現状を分析して、課題をあぶり出し、次のアクションの在り方をサジェッションします。いわゆる、ナビゲーター役でもあります」
コンシェルジュにはどんな方が?
「それぞれに専門分野があって、財務会計、IT、法務、女性起業、ベンチャー支援、Contents、などさまざまです。特徴的なこととしては、コンシェルジュ全員が起業経験者であり、現役の経営者でもあるということです。企業設立や経営に関しての理論だけでなく、実践的なアドバイスができます。“自分は起業に向いているのか?”とか“起業のメリットとデメリットを知りたい”なんていう初歩的な不安や疑問にも気軽にお答えします。ちなみに、SHTでは女性コンシェルジュも4人いますので、女性も気軽に相談に来ていただきたいですね」
起業とは、すべての人にありうる可能性の一つなんですね。
「生き方の一つとして起業するという選択肢が、誰の人生にも当たり前にあっていいと思うんです。起業というとハードルが高いイメージが浸透している一方で、未完成なプランで乱暴に独立してしまうケースも少なくない。当然、リスクをはらむ挑戦ですから、より確実に進むためにもきちんとした情報や知識が必須となります。さらに、視点や人脈を広げてくれる出会いも大きな助けになるはず。SHTがさまざまな人や情報が行き交う、起業家支援のための“ハブ空間”になればいいと思っています」