今年の新語に「忖度」辞書作りのプロも「無視できない」
「三省堂 辞書を編む人が選ぶ『今年の新語 2017』」選考会発表会が3日、都内で行われ、大賞に「忖度」が選ばれた。2位には「インフルエンサー」、3位に「パワーワード」と続いた。発表会には選考委員を務めた『三省堂現代新国語辞典』の編集主幹を務める明治大学の小野正弘教授、『三省堂国語辞典』の編集委員の飯間浩明氏、そして特別ゲストとして水道橋博士らが出席した。
大賞の「忖度」は『ユーキャン新語・流行語大賞 』にも選ばれた。「意外性がないのでは……」という感想には、水道橋博士は「“忖度”していないから、これを選んでいるってことですよね」と感想を述べた。
飯間氏は「個人の印象としては(2017年は)“忖度に明け、忖度に暮れ”という印象。老若男女が使っていた。これを無視してランキングは語れないと思いました」。選考会議では、相手の気持ちを察するといった意味も変わっておらず、すでに辞書に掲載されている言葉を選ぶことについて議論があったという。ただ気持ちを推し量った上で何か具体的な行動を起こすことまでカバーするようになってきたり、「忖度が働く」「忖度を辞めろよ」など文法的にも新しい使い方が出てきていることが選考される後押しとなった。
水道橋博士は「僕なんかは(たけし軍団という)すごい上下関係というか封建制度の中で育っているから、ものすごい昔から“殿を忖度して”とか“慮って”という言葉は日常的に使うんです。たけしさんや高田文夫先生とか“あんな言葉初めて聞いたよな”って言うんです。当たり前だよなって。我々が“慮って”、“忖度して”いるわけだから。忖度されている側はそれが忖度だと分からない」
本来は相手の思うところを推し量るという“いい言葉”であったのに、水道橋博士はまた「媚びる、諂う、ゴマする、“忖度る”みたいな言葉になっているみたいですね」とまとめた。
2位に選ばれた「インフルエンサー」について水道橋博士は、自らもインフルエンサーと呼ばれることが多いとしながらも、「インフルエンザっていうのがあるから、なんか、かかっている気がしますね」と、コメント。飯間氏はステルスマーケティングの例を挙げたり、小野教授も「ネガティブな感じで捉えられる感覚は大事なんじゃないか」と笑った。
『今年の新語 2017』は、2017年を代表する言葉で、将来的に辞書に「見出し語」として掲載される可能性があるという観点から選んだもの。一般から寄せられた2452の投稿(重複したものを除くと1072)の中から、辞書を編纂するプロが選び、ランキングにして発表する。今年の新語ランキングの結果は「今年の新語 2017」ページhttp://dictionary.sanseido-publ.co.jp/topic/shingo2017/ で、語釈とともに掲載されている。