浅倉カンナ 大晦日「RIZIN女子スーパーアトム級トーナメント」で狙うは優勝
「RIZIN FIGHTING WORLD GRAND-PRIX 2017 バンタム級トーナメント&女子スーパーアトム級トーナメント 2nd ROUND/Final ROUND」(12月29、31日、埼玉・さいたまスーパーアリーナ)で、2015年のRIZIN誕生以来、大きな盛り上がりを見せる女子格闘技のスーパーアトム級トーナメントのファイナルラウンド(31日)が行われる。10月大会で行われた1回戦ではRENAと浅倉カンナが準決勝に進出。この大一番に臨む浅倉に話を聞いた。
来年1月には「振袖にチャンピオンベルト」で成人式!?
浅倉は昨年12月29日の大会でRIZIN初参戦。当時は現役女子高生ファイターとして脚光を浴びたが、アリーシャ・ガルシア相手に惜しくも判定で敗れた。その時は「もう呼ばれないかも…」とやや落胆した表情を見せていたが、この1年で大きく飛躍。トーナメントに堂々と名を連ねるまでの存在となった。
「そんなこと言っていましたね(笑)。“負けたからもうないな”と思っていました。でもその時に“来年は無敗でいこう”と決めたんです。“もう絶対に負けない”って。それからあっという間に2月の試合が決まって落ち込んでいる暇もなくここまで順調に来ているので、ここ(トーナメント)は落としたくないですね」
今年は2月に女子格闘技イベント「DEEP JEWELS 15」で下牧瀬葉月相手に復帰戦を勝利で飾り、以降4連勝。8月には石岡沙織とトーナメント出場者決定戦を戦った。
「石岡選手との試合はプレッシャーしかなかったです。トーナメント出場権がかかっている試合ということもあったし、初めてのメインということもあって緊張しちゃってそわそわしていました」
内容的には圧倒していたと思うが。
「終わった時は“勝った”と思いましたけれど、試合中は変な圧力がありました。ベテラン選手ならではのものなのかなと思うんですが、1Rを取ったと思ってもなんか怖かった。2Rも取ってセコンドに“お前、イケてるから”って言われてもまだ怖かった。緊張もあったのかもしれないけれど、そういうのは初めてでした」
RIZINの10月大会では女子のエースであるRENAがメインを飾った。今大会も男女どちらかのトーナメント決勝がメインになるのでは、と予想されている。
「本当ですか? なんか…緊張しちゃうじゃないですか(笑)。気にしないようにはしていますけれど、やっぱり“メインあるんじゃない?”とはいろいろな人に言われますね」
浅倉は準決勝でマリア・オリベイラと対戦。勝てばRENA vsアイリーン・リベラの勝者と決勝で対決。そう考えるとオリベイラに勝つのと負けるのでは…。
「だいぶ違いますね。優勝と2位にも天と地ほどの差がありますから本当に優勝しなきゃダメですよね」
10月の1回戦では打撃が得意なシルビア・ユスケビッチを見事に完封。準決勝のオリベイラも打撃系だが…。
「今まで47.6kgでやっていたときは自分より大きな選手とはあまり戦ったことがないのですが、49kgになると背の高い選手も出てくる。それにオリベイラ選手は手足の長さが尋常じゃないので、ちょっと厄介な相手だなって思います。距離をちゃんとつかまないと、パンチをよけたつもりでも当たっちゃうこともあるだろうし」
浅倉はレスリング出身でそのタックルを武器に勝ち上がってきた。今では打撃も向上したがやはり勝機はタックル?
「自分の一番得意な部分で勝負したいです。RENAさんもオリベイラ選手も打撃の選手。そこで勝負するのは違うと思うので、今回もやっぱりテイクダウンを狙っていきたい。倒してからが勝負かなって思っています」
今年は4勝無敗の快進撃なのだが、下牧瀬戦以降の3試合は一本勝ちがない。
「そこは本当に悔しい。やっぱり一本取れるだけの技術をもっと上げていかないといけない。打撃の次はそこですね。RIZINは特にテレビで放送されるし、格闘技がどんなに面白いものかということを伝えようと思ったら、やっぱり判定よりは一本やKO勝ちのほうが皆さんに伝わりますよね」
これまではRENAがRIZIN、ひいては日本の女子格闘技を象徴する存在として君臨していた。しかしトーナメントで優勝すれば、自然とエースの座は浅倉のもとに転がり込む。
「本当にRENAさんのことは大好きだし、RENAさんあってこその、今の女子格闘技の盛り上がりなので、そういうことはあんまり考えられないですね。だから本当に試合もやりづらい(笑)。女子は選手数がもともと少ないじゃないですか。だからいずれ知っている選手と戦うことになるだろうなという思いはあったんですけれど、いざ戦うとなると、やっぱりやりづらいものなんだな、というのはありますね。ただ、RENAさんのことは今はもう総合格闘家としてみていますけれど、もともとは立ち技の選手。ずっと総合格闘技をやってきた者としては負けられないという思いはあります」
今回のRIZINも好カードが並んでいる。自分以外のカードで気になるカードは?
「やっちさん(矢地祐介)の戦い方が好きなので矢地さんと五味さんの試合は楽しみです。お父さんが格闘技好きだったので昔から家では年末は必ず格闘技だったんですが、五味さんは物心つく前から見ていた選手。そういう選手とまさか同じリングに上がるとは。そんな意味も含めて、この試合はとても楽しみです」
来年以降の目標は何か考えている?
「私、ベルトを持っていないので、どこかのベルトを巻きたいです。レスリングをやってきたんですけれど、メダルとかトロフィーしかもらったことがないんです。ベルトってかっこいいじゃないですか。ちょっとあこがれますよね」
今年10月で20歳。来年1月の成人式では「振袖を着ます」という。振袖にベルトという成人式も型破りで面白い。
(本紙・本吉英人)