塚越が壮絶KOで2度目の防衛【2・12 Krush.85】

塚越(左)がの左ストレートが牧平を襲う(撮影・上岸卓史)

塚越が3つのダウンを奪いKO勝ち
「Krush.85」(2月12日、東京・後楽園ホール)のメインイベントで「Krush−67kgタイトルマッチ」が行われ王者・塚越仁志が2R1分57秒、KOで挑戦者・牧平圭太を破り、2度目の防衛に成功した。

 1Rのゴング早々から塚越はパンチ、牧平は左のキックと自らの武器を前面に押し出しての戦いとなる。塚越がパンチで前に出るが、牧平は左のロー、そしてミドルキックで動きを止めると左ストレートをヒット。ローを食らいながらもパンチを繰り出し続ける塚越だったが、ラウンド終盤、明らかにローでダメージが蓄積。2Rに入ってもこの構図は変わらない。牧平の徹底したローで塚越はバランスを崩し、スリップダウンを喫するなど、ダメージは明らか。しかし塚越はそれでも前に出て牧平をロープに詰めると左フック一閃。牧平は崩れるようにダウンする。立ち上がった牧平に塚越が追撃のパンチの連打で2度目のダウンを奪う。なおも立ち上がった牧平が最後の力を振り絞り左ミドルにいくところに塚越が右ストレートを合わせ3度目のダウンを奪い、KO勝ちを収めた。

 塚越は試合後のリングで「怪我をしてほとんど練習ができなくてしんどい日々が続きました。でも大宮司さんの言葉とみなさんのサポートのおかげで勝つことができました。これからもKrushのチャンピオンとしてこの道を極めます」と挨拶。

 そして試合後の会見で、「練習が全くできなくて不安しかなかったから(勝てて)ホッとしている。気迫を凄く感じた。だからこそ負けられないという気持ちがあった。本当に気持ちだけだった。(牧平のキックは)効きました。やはり強烈でした」などと試合を振り返った。前日の会見で「対策は練っていない」と語ったが、それは怪我で練習ができなかったことからの言葉だった。また今後については「昨年9月にK-1に出させてもらったが、借りがある選手がいる。トーナメントだからとか関係なく、男として負けたら借りを返さなきゃいけない。KrushがNo.1だということを証明したい」などと話した。

ゴンナパーの強烈な左ミドル(撮影・上岸卓史)

ゴンナパーが佐々木大蔵への挑戦権を獲得
 セミファイナルで「Krush−63kg次期挑戦者決定戦」が行われ、ゴンナパー・ウィラサクレックと石田勝希が対戦。ゴンナパーが2R2分22秒、KOで勝利を収め、王者・佐々木大蔵への挑戦権を獲得した。

 1Rからゴンナパーの強烈な左のキックが石田を襲う。石田はガードするものの、その上からでもその威力は明白。しかし石田はそれでも果敢に踏み込みゴンナパーの蹴りに右ローを合わせて行く。終盤には得意のパンチまでつなげる石田だが、ゴンナパーはプレッシャーをかけ石田を下がらせる。そして強烈なキックを放ち続ける。

 2Rになってもゴンナパーの勢いは止まらない。それでも石田もパンチで前へ出て反撃するが、ゴンナパーは左のミドル、ロー、ハイを連発。徐々に石田を追い詰めると、左ストレート、右フック、左ローと一気に畳み掛け、ダウンを奪う。立ち上がった石田だったが、そこにゴンナパーが跳びヒザ。まともに食らった石田が2度目のダウン。ゴンナパーがKO勝ちを収めた。

 ゴンナパーは試合後のマイクで「今回は会長に“負けたらタイに帰国しろ”と言われたので、いつもより練習した。ベルトが目の前にありますが、すごく光って見えます。ぜひ次は応援お願いします」と挨拶。

 王者の佐々木もリングに上がり、「見ての通りの最強の相手。その最強の相手をしっかり仕留めます。このベルトは僕のものなのでしっかり守ります」とこちらも必勝を誓った。

桝本(左)が逆転勝利(撮影・上岸卓史)

3R終了間際、起死回生のダウン奪い桝本が江川に逆転勝利
 今大会では「小澤海斗vs里見柚己」「桝本“ゴリ”翔也vs江川優生」という今後のkrush−58kgのタイトル戦線はもちろん、3月20日に武尊が返上する「K-1フェザー級」にも大きく影響を及ぼすであろう2つのカードが組まれた。

 最初に行われた桝本vs江川の一戦は3R2-0の判定で桝本が勝利を収めた。1Rから主導権を握ったのは江川。前蹴りで距離を取ってから、ロー、そしてボディーストレートとスピードで桝本を翻弄。桝本もパンチからのロー、そしてハイキックで反撃を見せるが、1R終了間際に江川の右ストレートで桝本がぐらり。江川が連打で畳み掛け、あわや1RKOの場面を作る。2Rに入ると桝本がプレッシャーをかけ前に出るが、江川は回転の早いパンチで対抗。一進一退の攻防が続く。3Rも江川の連打が好印象。桝本もパンチにローと攻撃を繰り出すが、ガードの固い江川にダメージ与えられない。江川は中盤には桝本の左フックに右フックを合わせ、またも桝本をぐらつかせる。

 追い込まれた桝本は後ろ回し蹴り、ハイキックで追いかけ、江川が左フックを放ったところに同じく左フック。これが相打ちとなり、江川がダウン。この時点で試合時間は残り5秒。江川はすぐに立ち上がったものの反撃の時間は残されていなかった。

 判定は1人が28-28だったが、残る2人が29-28で桝本が逆転勝ちした。

小澤の強烈な左ミドルが里見のボディーにぐさり(撮影・上岸卓史)

小澤が里見を秒殺。そしてKID戦をアピール
 劇的な勝利で大きなインパクトを残した桝本だったが、それを上回る衝撃を与えたのが小澤。

 小澤は昨年、西京春馬に連敗を喫し、Krush−58kgの王座から陥落。ここが再起戦となる。
相手の里見は昨年、KHAOSを振り出しに5試合を戦い、現在急成長中の20歳。

 キャリアでは小澤が圧倒しているが、勢いでは里見。里見が一発大物食いを実現するのではーー昨今、若い世代のファイターの活躍が目立つK-1、Krushとあってそんな見方もされがちなのだが、小澤は力でファンの目を現実に引き戻した。

 序盤から小澤がプレッシャーをかけて前へ。右フックで里見をロープに詰めたところで、ボディーに強烈な左ミドルを体ごとたたき込むと里見はその場にうずくまりダウン。そのまま立ち上がれず、1R49秒、戦慄のKO勝ちで華々しい復活を遂げた。

 小澤はマイクを握ると「小澤海斗が戻ってきたぞ! 3・21、K-1のお祭りでしょ。やっぱ俺が出ないとな。KID選手とやらせてください」とまさかのアピール。そして前日会見で途中退席した時に生まれた新フレーズ「腹減ったんで帰ります」を言い残してリングを去った。

小澤はマイクアピール後は「腹減ったんで帰ります」(撮影・上岸卓史)