【インタビュー】芳根京子が吹き替え初挑戦! 映画『ボス・ベイビー』
NHK連続テレビ小説『べっぴんさん』では激動の昭和を生き抜いたヒロインを演じ、現在大好評の月9ドラマ『海月姫』ではオタク女子の主人公役で大注目。そんな今、最も気になる女優・芳根京子が、話題のアニメーション映画『ボス・ベイビー』で吹き替え初挑戦!
「本当に初めてのことだったので、スタジオに何を持っていったらいいのかも分かりませんでした(笑)」と振り返る芳根京子。吹き替え初挑戦となる本作『ボス・ベイビー』で挑んだのは、自身とは年齢も性別も異なる“7歳の少年”役!
1日に少なくとも1度は『ボス・ベイビー』を見ると決めて“1日1『ボス・ベイビー』”を実践。
「そうするうちに少しずつ分かってきたというか。普段、自分の体を使って芝居をするときには自然と出てくるような息づかいも、声のお芝居では、すべて指定されているんです。“やめろ!”というセリフの前に一言“うっ”と入れてください、といった具合に。そのように一つひとつ当てはめていく感じの作業が多かったんですけど、慣れてきたら楽しくなってきて“うっ”を入れ過ぎてしまったこともありました(笑)」
芳根が演じるのは、突然、弟としてやってきたボス・ベイビーに翻弄される少年ティム。その少年らしさを生き生きと声で表現した芳根を、山寺宏一ら一流の声優陣も絶賛。
「お褒めの言葉を頂いたときは本当にうれしかったです。お父さんとお母さんを取られたくないというティムのまっすぐな気持ちを表現できていたらいいなと思います。そういえば少年役は女性の声優さんが演じることが多いですよね。自分が少年の声をどれだけ表現できていたか不安な部分もありますが、ただ、ティムがボス・ベイビーと戦っているときの声を自分で聞いてみて、すごく楽しそうに演じているなと思ったんです(笑)。実際、演じていて本当に楽しかったですし、スタッフや共演の皆さんからいろんなことを教えていただいて、本当に貴重な経験になりました」
ボス・ベイビーを演じるのは個性派俳優ムロツヨシ。大人の前では無垢な赤ちゃん、でもその中身は中間管理職の“おっさん”というキャラクターを見事に体現。
過去にも共演経験のあるムロとの掛け合いも息ぴったり。
「ムロさんとは何度かご一緒させていただいているので、機会があれば一緒にお食事させていただきたいと思っているんですが…私からは言い出せません(笑)。ムロさんに、少しだけ悩んでいることを聞いていただいたんですけど、ムロさんの言葉って、すごくパワーがあるんです。ゆっくりお話しできたらとも思うんですが本当にパワーがあるので、これくらいがちょうどいいのかも(笑)」
子供のころから表現することが好きだったのかと思いきや、かなり内気だったという。変化が起きたのは中学1年のとき。
「小学生のころからフルートをやっていたんですが、中学に入学したばかりのころ、たまたま吹奏楽部でフルートが足りなくて先生に入部を誘われて、私一人だけ1年生で演奏会に参加させてもらったんです。自分を必要としてくれる人がいるうれしさや、自分の意見を伝えることの大切さ、誰かと一緒に一つのことに向かっていくことの楽しさを知り、もっと人と関わっていきたいと思うようになりました。以来、性格もすごく明るくなったと思うんですが、とはいえいまだに人見知りがあるので、同年代の方にも連絡先を聞いたりできなくて(笑)。目上の方であればなおのこと、一緒にお食事できたらと思っても自分からは、とても…。本当はもっといろんな方とお話しして多くの刺激を受けたいと思っているんですが、なかなか、すべてを変えるのは難しいものですね(笑)」
そんな芳根を成長させてくれるのはやはり作品との出会い。どの作品でも120%の力を出したい。その思いで朝ドラや月9の主演にも挑んだ。
「役を通して強くなれる作品に多く出会えたことで、私自身も少しずつ強くなり、成長しているように思います。朝ドラのときは“走り切る”というのが目標でしたけど、『海月姫』では“走り切るのはもちろん、さらに主役として何ができるか”を常に考えるようにしています」
そこで新たに得た強さとは?
「振り切り方(笑)。普段だったら恥ずかしいようなことも『海月姫』の現場では恥ずかしくないんです。中途半端なほうが恥ずかしい、ということを学びました(笑)。今では、やらせてもらえるなら口から粉でも水でも吹き出します!という姿勢です。何なら、自分から探してお芝居に取り入れてみたりもします。瀬戸康史さん演じる蔵之介にヒップアタックしたシーンも自然と出てきたもの(笑)。そういうことができたのもスタッフやキャストの皆さんが作ってくれる現場の空気のおかげだと思います。だから私も変な恥じらいは捨てよう、と。先日も水を吹き出すシーンがあったんですが、どうも自分自身で納得できず、もう1度お願いして思いっきり吹き出したところ拍手を頂きました(笑)。私にとって現場は常に新しい自分を見つけさせてくれる場所です」
“ボス”タイプではないけれど…。
「高校1年の文化祭のときに映画を製作したんですが、最初は小道具だったのに気づいたら監督兼カメラをやっていました(笑)。『べっぴんさん』も『海月姫』もまさかこの自分が主役を頂けるなんて、思いもよらないことでした。自分はボスじゃない立場のほうが好きだけど、だからこそボスになる機会を頂いたら、この人にボスを任せようと思ってもらえるような存在にならないといけないと思っています。気持ち的にはいまだに引っ込み思案なところもありますし、ボス向きではないですが、人についていくだけではなく人を引っ張ることができる“ボスにもなれる”人になりたいです」
“ボス芳根京子”の活躍に期待!
(本紙・秋吉布由子)
監督:トム・マクグラス 声の出演:アレック・ボールドウィン他 日本語吹き替え版声の出演:ムロツヨシ、芳根京子、宮野真守、乙葉、石田明(NON STYLE)、山寺宏一他/1時間37分/東宝東和配給/3月21日(水・祝)より全国公開 http://bossbaby.jp/