こどもの本総選挙1位に「ざんねんないきもの事典」ピース又吉「自分がどう思ったか、大切に」
『小学生がえらぶ!“こどもの本”総選挙』の結果発表会が、こどもの日の5月5日、都内で行われた。発表会には、アンバサダーを務める又吉直樹も出席。子どもたちと一緒に選挙の行方を見守った。
1位に選ばれたのは「おもしろい!進化のふしぎ ざんねんないきもの事典」(高橋書店)。続編の「おもしろい!進化のふしぎ 続ざんねんないきもの事典」(高橋書店)も4位と大人気だった。子どもたちによれば、学校で「みんなが読んでいる」という。ベスト10内最多はヨシタケシンスケ氏の作品で、2位の「あるかしら書店」(ポプラ社)、3位の「りんごかもしれない」(ブロンズ新社)など、10位以内に4作品が選ばれた。
「おもしろい!進化のふしぎ ざんねんないきもの事典」について、又吉は「サイの角はただのイボだとか、ホタルはあんまり光らないとか……確かに“ざんねん”なんですけど、それが個性で。“ざんねん”なところを知っても、その動物のことを嫌いにならなかった。むしろ好きになれました。これは、人間を見るときにも生かされる。残念な人間もいっぱいいますけど、それを欠点としてみるのか、ユニークでおもしろいところとして見られるのかって(笑)」
また他のベスト10作品についても、又吉は「僕も読ませていただいたんですが、すごい面白かったです。考え方というか、発想が広がる(作品だ)と思いました。自分やったらどうするやろうと考えたりするんですけど、僕が思いつくぐらいことはだいたいもう書いてあったことにショックを受けたり。こういう本を読んで、友達と感想を言い合えるのも楽しいし、自分で向き合っている時に自分だけがどう思ったかもすごい大事にしてほしいと思いました」。
また、子どもたちによる選出理由についても感じるところがあったよう。「続ざんねんないきもの事典」の「大きい図鑑で見るより楽だった」というコメントについて、「それもすごい重要だと思うんです。本もそうですけど、世の中の面白いこととか、聞いてハッとすることって、いろんな本にも書いてあるし、自分も聞いたことがあるかもしれないけれど、今こういうタイミングで光があたるから、自分の中にスッと入ってくることもあると思う。それも本の役割なんだと思います」と話した。
宗田理氏による「ぼくらの七日間戦争」(2009年 KADOKAWA)も8位にランクイン。あと3日で90歳だという宗田氏は「いろいろと子どもたちの本を書いてきて、この本(「ぼくらの七日間戦争」)を書いたのは今から30年前。それを今でも読んでいただいて、賞をいただけるのはありがたい」とコメント。さらに「親子3代で読んでくれている人もいる。子どもたちのやりたいことは今も昔も変わらない。読まれるものは読まれるのだと感じている」と話した。
『小学生がえらぶ!“こどもの本”総選挙』は、数々の児童書を出版しているポプラ社が主催。子どもたちに面白い本と出会える機会を作り、本をもっと身近に感じてもらいたいという思いのもと、小学生を対象に、書店の店頭をはじめ、全国の小学校、公共図書館、およびポプラ社のウェブサイトを通じて投票用紙を配布、「自分の一番好きな本」を募集した。応募期間は2017年の11月1日~2018年2月16日。応募総数は約12万通を超えた。
結果は以下の通り。
1位「おもしろい!進化のふしぎ ざんねんないきもの事典」(監修/今泉忠明 2016年 高橋書店)
2位「あるかしら書店」(著/ヨシタケシンスケ 2017年 ポプラ社)
3位「りんごかもしれない」(作/ヨシタケシンスケ 2013年 ブロンズ新社)
4位「おもしろい!進化のふしぎ ざんねんないきもの事典」(監修/今泉忠明 2017年 高橋書店)
5位「おしりたんてい かいとうVSたんてい」(作・絵/トロル 2017年 ポプラ社)
6位「おしりたんてい いせきからの SOS」(作・絵/トロル 2017年 ポプラ社)
7位「このあとどうしちゃおう」(作/ヨシタケシンスケ 2017年 ブロンズ新社)
8位「ぼくらの七日間戦争」(作/宗田理 絵/はしもとしん 2009年 KADOKAWA)
9位「ふしぎ駄菓子屋 銭天堂」(作/廣嶋玲子 絵/jyajya 2013年 偕成社)
10位「りゆうがあります」(作・絵/ヨシタケシンスケ 2015年 PHP 研究所)