所英男 1回戦敗退も「このチームで戦えたことは大満足」【6・9 QUINTET】
ZSTのテーマ曲で登場
桜庭和志が立ち上げたチーム戦によるグラップリング大会「QUINTET」の2度目の大会となる「QUINTET FIGHT NIGHT in TOKYO —Light Weight Team Championship—」(6月9日、東京・ディファ有明)で所英男が結成した「TEAM TOKORO PLUS α」は1回戦で姿を消した。
このチームはかつてZST4兄弟といわれた所、今成正和、小谷直之、矢野卓見に現在、所と練習することも多い、ZSTの前フライ級王者の伊藤盛一郎というメンバー構成。所にチーム結成の話が来た時に「最初に頭に浮かんだのが矢野さん、今成さん、小谷君。そしてその数秒後に伊藤盛一郎さんの名前が頭に浮かんだ」と言うように、所にとっては思い入れの強い選手たちとのチーム。
この日、5人はZSTのテーマ曲で登場。ディファ有明はこの6月で閉鎖されることからZSTは昨年11月の旗揚げ15周年記念大会がディファでの最後の大会となっていたのだが、まさかまたZSTのテーマ曲をディファで聞くことになるとは。
勝負は大将戦に
前日のオーダー発表では小谷が「矢野さんまで回さないで勝つということが目標」と言うように矢野のコンディションに一抹の不安を抱える。その矢野が大将になったいきさつについては矢野が「所と小谷が大将は嫌だと言ったから僕が大将になった」と裏側を暴露。しかしこのオーダーが思わぬ展開を生み出した。
「TEAM CARPE DIEM」との試合は先鋒戦から副将戦までの4試合はすべてドローに。アグレッシブな試合展開が売りのZSTだけに結果だけを見ると意外にも思えるが、これはCARPE DIEMとともにアグレッシブな試合を行った結果。
先鋒戦では伊藤が体重差が10kg以上ある杉江“アマゾン”大輔に飛びつき腕十字であわやのシーンを作れば、次鋒戦では今成が足関節を狙う動きを見せるだけで会場は大きく沸いた。中堅戦の所は最後にヒザ十字狙いで見せ場を作り、副将戦の小谷もなんとかいい形で大将戦につなごうと懸命の戦いを見せた。
得意の“洗濯ばさみ”も繰り出す
そして迎えた大将戦。ここで試合を盛り上げる大きな出来事が起こる。CARPE DIEMの大将・岩崎が禁止されている整髪料をつけていたことから「指導1」からのスタートに。
矢野がしのぎ切れば指導の差で所チームが勝ち上がることとなる。がぜん緊迫度が増した中で、矢野は序盤、得意の“洗濯ばさみ”を繰り出すなど全盛期を彷彿させる動きを見せる。
しかし時間が経つにつれ、ガス欠の矢野。ブレイクがかかってもすぐには起き上がることができず、その後の場外の時も中央に戻るのにマットの上をゴロゴロと転がって戻り、少しでも体力の回復を図る。
もっともこの姿が本当にへばっているのか、もしくは三味線なのかは本人にしか分からない。実際、決勝終了後の全選手が集まってのフォトセッションには晴れやかな表情の矢野の姿があった。
矢野の懸命に戦う姿に大矢野コール
そんな状態の中でも矢野は岩崎の肩固めを巧みな防御でしのぎ、スリーパーホールドはアゴで受け、首には腕を入れさせない。そんな矢野の姿に全盛期のファイトを知らないようなファンからも自然と矢野コールが起き始める。しかし動きが止まった矢野に指導が入り、これで指導の数は2-2のイーブンに。
そのままタイムアップでドロー。大将戦ということで判定となり、3―0で岩崎の勝利となった。
試合終了後、座り込んだまま判定を聞く矢野。そんな姿に会場から「大矢野コール」が起きる。
試合後の会見では矢野は「意識があるうちは頑張ろうと思った」と話した。一方、所は「このチームで戦えたことは大満足」と話し、感極まる場面もあった。
◆1回戦第1試合
「TEAM CARPE DIEM」vs「TEAM TOKORO PLUS α」
▲先鋒:杉江“アマゾン”大輔(4分ドロー)先鋒:伊藤盛一郎▲
▲次鋒:デヴィット・ガルモ(ドロー)次鋒:今成正和▲
▲中堅:松本義彦(ドロー)中堅:所英男▲
▲副将:世羅智茂(ドロー)副将:小谷直之▲
▲大将:岩崎正寛(ドロー)大将:矢野卓見▲
※大将戦は判定で岩崎が勝利
◆1回戦第2試合
「TEAM U-ZUKIDO」vs「TEAM HALEO」
●先鋒:佐藤光留(36秒、ジャパニーズチョーク)先鋒:徳留一樹〇
●次鋒:井上学(6分18秒、ドクターストップ)徳留一樹〇
▲中堅:濱岸正幸(ドロー)徳留一樹▲
●副将:ビクター・ヘンリー(ストレートフットロック)次鋒:金原正徳〇
〇大将:中村大介(2分33秒、アームバー)金原正徳●
●中村大介(1分29秒、リアネイキッドチョーク)ホベルト・サトシ・ソウザ〇
※「TEAM HALEO」がソウザ、小見川道大、宮田和幸の3人残りで勝利
◆決勝
「TEAM CARPE DIEM」vs「TEAM HALEO」
〇先鋒:杉江“アマゾン”大輔(4分6秒、アームバー)先鋒:小見川道大●
●杉江“アマゾン”大輔(1分7秒、キムラロック)次鋒:宮田和幸〇
〇次鋒:デヴィット・ガルモ(5分22秒、二ーバー)宮田和幸●
●デヴィット・ガルモ(4分12秒、リアネイキッドチョーク)中堅:ホベルト・サトシ・ソウザ〇
●中堅:松本義彦(3分12秒、リアネイキッドチョーク)ホベルト・サトシ・ソウザ〇
▲副将:岩崎正寛(ドロー)ホベルト・サトシ・ソウザ▲
〇大将:世羅智茂(33秒、アームバー)副将:徳留一樹●
▲世羅智茂(ドロー)大将:金原正徳▲
※全指導回数2-0で「TEAM CARPE DIEM」が勝利