「ラグビーワールドカップ2019」日本はどこまでやれるのか!?(4)【ギモン解決の1週間】

伝説のラガーマン・吉田義人に聞く

 2019年に日本で開催される「ラグビーワールドカップ(W杯)2019」に向け、5つのテーマでラグビーについて元日本代表の伝説のラガーマン・吉田義人氏に話を聞くこの企画。今回のテーマは「2019年、日本はどれだけやれる?」。

パート1「ラグビーの立ち位置」

パート2「ラグビーの魅力」

パート3「W杯に向け盛り上がりが足りなくないか?」

吉田義人氏(撮影・蔦野裕)

パート4「2019年、日本はどれだけやれる?」
 2019年のワールドカップで日本はどれだけやれそうですか?

「前回の2015年イングランド大会では日本代表が初戦で、当時、世界ランキング3位の南アフリカを破りました。結果、みんなが、“日本もなかなかやるじゃないか!”と歓喜しました。そして2戦目のスコットランドには負けたんですが、アメリカとサモアにも勝って予選リーグで3勝しました。W杯で予選リーグで3勝したのは初めてでしたので、確実に実力は上がっています。2019年は日本での開催でもありますし期待は大きいです。でも3勝したのに決勝トーナメントに進出できなかったのは過去8大会の歴史の中で日本が初めてでした。本当に世界のベスト8に入るというのは大変なことなんです。

 ラグビーは世界的に、もともとアマチュアのスポーツとして、其々の国で独自の歴史をあゆんできました。まさに、プロ組織、プロ選手の存在はありませんでした。1995年、南半球のニュージーランド、オーストラリア、南アフリカの3国がプロリーグを発足させました。1997年には北半球のイングランドとフランスが各々の国でプロのリーグを立ち上げました。一方、日本はというと、ラグビーはアマチュアのスポーツとして、そのプライドを誇示し、学生スポーツと実業団スポーツを中心に、繁栄をもたらした時代もありましたが、プロ化を推進という考えは、そこには全く存在していませんでした。

 僕が2000年にフランスに渡り、初めてフランスリーグディビジョン1のプロ選手として契約を結んだことも、一つのきっかけとなり、日本国内においても、歴史上初めてのプロ選手を容認するということになったんです。日本ラグビー界も世界の潮流に乗り遅れないように、未来に向けての一つの方向性を示す大きな出来事でもありました。

 現時点において、日本にはトップリーグという実業団リーグは存在していますが、野球、サッカー、バスケットボールなどに代表されるようなプロリーグではありません。世界の強豪国では自国にプロリーグが組織化されているのが実状なので、日本国内にプロリーグがないというのは非常に厳しい状況ではあります。

 しかし、2年前に2019年ワールドカップ自国開催での悲願の決勝トーナメント進出に向けて、サンウルブズという日本国内で唯一のプロラグビーチームが結成され、南半球を舞台にした世界最高峰リーグと言われている、『スーパーラグビー』に参戦し、日本のラグビー界がひとつになって精力的に強化に取り組んでいます。

 組織も個人も、真のプロフェッショナルな環境に身を置き、より多くの経験を積み上げることで、ワールドカップで初のトップ8入りが現実のことになると思っています。

 今後の選手たちの大きな飛躍、活躍、そして世界レベルでの成長を大いに期待していますし、日本代表は確実に強くなり進化していくと思います。」