【ラブシャ2018レポート】7万5000人が熱狂するフェスに初めて行ってみた!

「ラブシャ」と呼ばれ親しまれる、音楽チャンネルのスペースシャワーTVが主催するフェス「Sweet Love Shower 2018」が山梨・山中湖交流プラザ きららで3日間にわたって行われ、9月2日で無事閉幕した。その最終日に、美容系インフルエンサー小林令奈(@rena___tokyo)とネットで話題のメンズファッションWEBマガジン「MTRL」のモデル冨田幸大(@yukihilo1126)、本サイトのライターが揃って初のラブシャ参戦。20代サブカルライターから見たラブシャの魅力をレポートする。



 当日はあいにくの曇りのち雨の天気予報。朝の時点では山中湖はなんとか曇り空をたもっていた。
 見渡すと年齢層は比較的に高め。電車の便が良いとはいえないないため、車かバスの来場が強いられるという点からか、オーディエンスもフジロックフェスティバルに近い「アウトドアガチ勢」の大人の参戦が目立つ。ラブシャは毎年8月終わりから9月にかけての開催ということもあり、暑さ対策よりは寒暖差による寒さ対策も必要になってくる。雨の心配もあったので、アウトドアブランドのしっかりとした長靴やレインコートを装備している客が多く見受けられた。

Photo by 岸田哲平(C)SPACE SHOWER SWEET LOVE SHOWER 2018

 オープニングアクトは今注目のガールズNEOカワイイバンドのCHAI。今日もとトレードマークのお揃いのピンクの衣装で登場で、まだ眠たげな会場を得意のゆるくて面白いMCと曲で盛り上げた。

 次に会場内を騒然とさせたのはTwitterでのインフルエンスに定評のあるボーカル椎木率いる、My Hair Is Bad。マイヘアの略称で親しまれ、年間で数百本ライブを行う“ライブバンド”だ。見どころはボーカル椎木のアレンジ力の高い即興歌詞でのポエトリーリーディング。今を生きる若者の心を捉える「ノンフィクションな感情」を全力で歌う椎木の作る歌詞は、若者の心を捉えて離さない。会場では椎木が即興で歌った「俺らは自由だが、自由にされるのが一番怖かったりする」という言葉に、頷いて静かに泣く人もいた。マイヘアにはそんな熱狂的なファンも多く、会場内でもマイヘアで全身を固める若者も目立っていた。

Photo by 岸田哲平(C)SPACE SHOWER SWEET LOVE SHOWER 2018

 16時、メインステージでその日一番というほどの客を集めたのは世界で活躍する、ワンオクことONE OK ROCKだ。音響はドラムサウンドが大きく聴こえるようになっており、それに負けないくらいのボーカルTakaの圧倒的歌唱力。「脳みそに響く」ワンオクの演奏に会場はその日一番というくらいの熱狂ぶりを見せた。

 TakaのMC中、さっきまでどんよりと空を覆っていた雨雲が流れ、その日一番の青空と太陽が会場を照らした。その後、キラーチューンの『完全感覚Dreamer』で観客の熱狂がピークに。興奮して泣いてしまう男性もいて、泣きながらジャンプして盛り上がる会場の熱量は、雨で水分を吸った山の地面を本当に揺らしていた。

 その後も、急上昇の女性アーティストあいみょんが小さなフォレストステージを埋めた。3日間参戦した観客も、「3日間でこのステージにこんなに人がいるのは初めて」と語っていた。

 ちなみに今夏のフジロックフェスティバルにも出演したSuchmosは、今回も『STAY TUNE』を演奏しなかった。しかし、初期アルバムの名曲『MINT』はセットリストに入っていて、ファンは喜びの声をあげていた。

小林令奈(@rena___tokyo)

 夕方から夜にかけてはゆっくり過ごしている人も多かった。ラブシャは山フェスらしいナチュラルなイメージのカフェなども多く出店しており、マルシェスペースでは女性たちがシャボン玉をしたり、「フェスセルフィ」を楽んだりしている。こういう余裕のある時間があるのも、都市フェスに比べて気候が穏やかで体力の消耗が激しくないからだろう。そういう意味で、大人にも優しいフェスになっているように感じた。

 フェスの大トリ付近は、KICK THE CAN CREWやエレファントカシマシなどの大物アーティストが並ぶ。年齢層の高いフェスだからこそ成り立つ、「懐メロ」な大物アーティストたちの曲には大人が大興奮。朝10時からの長丁場のフェスだというのに、エレファントカシマシの名曲「今宵の月のように」が終わるまで、じっとステージを見つめ続けるのは、若者よりも大人が多かった。

こうして今年のラブシャ2018も、大盛況で幕を閉じた。

冨田幸大(@yukihilo1126)

 ラブシャ初参戦だった同行者の二人に、感想を聞いてみた。

 27歳の小林は「天候が過ごしやすかったので、暑い海辺のロッキン(ROCK IN JAPAN FESTIVAL)やヒートアイランドな都市フェスより疲労感がない。明日も仕事ががんばれる」と語る。

 21歳の冨田は「こんなにおしゃれな感じだって知らなくて。グッズもかわいいから普段でも使える!とたくさん買ってしまった」と笑顔だった。

 筆者もラブシャへの参戦は今回が初だったが、大物バンドのステージであっても入場規制もなく、いわゆる「ライブガチ勢」といったふうな人も少なく、前に詰め寄るモッシュゾーンも、最前列が少しガヤガヤしている以外は全くない。柵ががっちりと組まれておらず、扇形に広がって見れる会場設計が、近くでも、遠くからでも快適にライブが楽しめた要因だったのかもしれない。参加者みなが自分のペースで音楽を楽しんでいる雰囲気が非常によかった。ゴミが落ちている様子もなくマナーの良い野外フェスだった。

 平成最後の夏のフェスもそろそろ全公演が終わる。次の元号ではどんなフェスで、どんな音楽が楽しめるのだろう。きっと来年も、〇〇最初の夏として、夏もフェスも盛り上がってくれるはずだ。

 ラブシャで、私の平成最後の夏は本当に終わってしまったようだ。しかし、来年も夏は来る。すべてを許してくれる夏が来年また来るまで、仕事をがんばろう。そんな風に思わせてくれた、「ラブシャ2018」だった。

取材と文・ミクニシオリ