いろんな意味で見逃せない作品 劇団桟敷童子『その恋、覚え無し』

松本紀保(左)と板垣桃子

 桟敷童子は演出を務める東憲司が描く社会の底辺で生きる人々による骨太で猥雑な群像劇を、1週間から半月ほどの時間を費やし劇団員で作った大掛かりな舞台セットで“魅せる”劇団。

 かつては東の生まれ育った炭鉱町や山間の集落をモチーフにしたごつごつとした作品が多かったのだが、最近は時には舞台を現代に置いたり、社会問題を扱ったりとさまざまなバリエーションの作品を発表。来年で結成20周年を迎えるのだが、常に進化し挑戦し続けている。

 今回は劇団では初めての試みという「恋物語」に挑む。松本紀保、石村みか(てがみ座)という実力派の2人の女優を客演に迎え、劇団の看板女優である板垣桃子と3人の女優による華やかな競演が繰り広げられるのだが、果たしてどんな「恋物語」を見せてくれるのか。
 ただその一方で劇団の真骨頂である「本水」を使った舞台美術は今回も健在。

 パッと聞くとミスマッチにも聞こえる「恋物語」×「本水」の組み合わせ。これをしっかり融合させられるのは多分、桟敷童子だけかもしれない。いろんな意味で見逃せない作品。

劇団桟敷童子『その恋、覚え無し』

【日時】11月27日(火)〜12月9日(日)(開演は27・28・30・6日19時、29・3・4・7日14時、1・8日13時/18時、2・9日13時、5日14時/19時。開場は開演30分前。当日券は開演1時間前)
【会場】すみだパークスタジオ倉(錦糸町)
【料金】指定席3800円/自由席(予約番号順に入場) 前売一般3500円、前売学割(要学生証提示)3300円/当日券3800円/割引day(27・28日)一律2800円(全席自由)
【問い合わせ】劇団桟敷童子(TEL:03-5637-8902 [HP] http://www.sajikidouji.com
【作】サジキドウジ
【演出】東憲司
【出演】板垣桃子、原口健太郎、稲葉能敬、鈴木めぐみ、川原洋子、山本あさみ、もりちえ、新井結香、大手忍、深津紀暁、升田茂、内野友満、柴田林太郎、三村晃弘/松本紀保、鳥越勇作、瀬戸純哉、石村みか