しりあがり寿、米国のヘタウマアートに共感「仲間と出会えたよう」
『バッドアート美術展』のオープニングセレモニーが21日、東京ドームシティ Gallery AaMo にて行われ、同展スペシャルサポーターを務める漫画家のしりあがり寿が登壇した。
同展は米国ボストンにある“ひどすぎて目をそらせない”アート作品を収集するバッドアート美術館の作品を日本初公開する展覧会。同館が収蔵する約800点を超える作品から厳選された110点を展示する。
この美術館が生まれたいきさつについて館長のルイーズ・ライリー・サッコさんは「1994年にスコット・ウィルソンという画商がゴミの中から見つけた絵を額縁だけとって捨てようとしたところ、彼の友人だった私の兄弟が絵を気に入り家に飾ったのが美術館の始まりでした」と解説。近年、寄贈希望が増えているというがキュレーターのマイケル・フランクさんいわく「私たちがコレクションしているバッドアートとは、制作者が誠実な思いで一生懸命、作品を作ったものの、おかしな状況になってしまった作品のこと。技術力のないアマチュアの作品という以外に、どこか魅力的な部分がある作品のことなんです」。
そんなバッドアートの世界に、同展でイラスト付き解説を手掛けたしりあがり寿もすっかり魅了された様子。「出来の悪い子はかわいいといいますけど、どの作品も素晴らしい。ヤバいオーラが出ているんですよ(笑)」と満面の笑みを浮かべ「展覧会の紹介に“創作過程のどこかで道を踏み外してしまった作品ばかり”とあるのですが、そもそも人は道に迷ってばかり。人間こそがバッドアートの代表なんじゃないかと」と、奥深さを語った。
「比べられるのがうれしいような微妙なような」と苦笑しつつ「僕も70年代から“ヘタウマ”アーティストとして活動させてもらっていますが、海の向こうの仲間と出会えたような、うれしく懐かしい思いです」としりあがり寿。特に印象に残った作品は、緑色のゆるい全身タイツを着ているような男女を描いた「『沼ピクニック』。テクニックもすごいし構図もバッチリ決まっているのに、(描かれている人物に)なんであんなものを着せたのか」と首を傾げ「僕の付けたコメントを気にせず自由な解釈で楽しんで」とアピールした。
展覧会では12月24日までバッドアート作品を募集。画像データ審査を通過した作品は寄贈候補作品として随時展示。最終的に、候補作の中からボストンのバッドアート美術館に寄贈する作品が選出される。『バッドアート美術展』は11月22日から2019年1月14日まで後楽園の東京ドームシティ Gallery AaMoにて開催。