チケット高額転売規制法成立で室伏氏「多くの方にオリ・パラ観戦の機会をもたらすことができる」
施行は来年6月14日
12月10日に閉幕した臨時国会の8日未明の参議院本会議で「特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律案」が可決された。これはチケットの高額転売を規制する法律で、コンサートのみならず、2019年に行われるラグビーワールドカップ(W杯)、2020年東京オリンピック・パラリンピックにまでおよぶ不正転売を規制するものとなる。
これまで音楽業界やスポーツ業界などから成立を望む声があがっていたのだが、なかなかそこに至らず、今回ついに投票総数237票中賛成237票、反対0票という結果で可決・成立した。
この日は超党派の「高額チケット転売問題議員連盟」の総会が開かれ、経過の説明が行われた。
まずは三谷英弘衆議院議員から「法律については公布の日から6月経過した日に施行となっている。交付は14日になるのではないかといわれているので、施行は来年6月14日から施行となると思われる」と説明があった。
この日は各党の代表、関係団体の代表が姿を見せた。
今後のカギは制度の中身の周知徹底
ライブ・エンタテインメント議員連盟会長の自民党の石破茂氏は「これから先は何がどう変わるのかということをよく理解してもらわなければいけない。何が良くて何が悪いのかが分からない方が圧倒的多数だと思う。どういう制度かということを分かってもらわないといけない。そしてこれが興行の振興につながらなければいけない」などと今後の課題を語った。
国民民主党の古川元久も「仏作って魂入れずにならないように、実効性のある形で運用をしていかなければいけない。そして問題のある転売を根絶していかなければいけない。これでも足りないものがあれば、さらなる改正もやっていかなければいけない」などと同調した。
またコンサートプロモーターズ協会会長の中西健夫氏は「足掛け3年。ライブ・エンタテインメント議連で話し始めてから、毎回、この国会で行けるかなと思いながら見ていた。前回の通常国会では見送りになり、今回も国会が混乱した時にはもうダメかと思っていた。今回、なんとか滑り込めたのは感謝しかない。ただし法律ができたからといって、変わると言うものではない。今回の法律はグローバルスタンダードとして世界に誇れるものにしていきたい。これをどういうふうに運用していくかが一番大事。我々音楽団体は法案が成立したからといってここで止まるのではなく、さらに法案を具体的により効果的に、そして啓蒙活動も行っていかなければいけない」と話した。
IOCも法案成立を要望
東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会 スポーツディレクターを務める室伏広治氏は「こういう法案が通ったことでより多くの方にオリンピック・パラリンピックの観戦の機会をもたらすことができるし、また選手たちのモチベーションの向上にもつながることになると思う。法案を通じてオリパラだけではなくて、さまざまな日本のスポーツ・文化にさらなる貢献する仕組みに、そしてレガシーになることを期待している」などと話した。
また遠藤利明・五輪担当相は「IOCからも“ぜひこの法律を成立させてくれ”という要望があった。先日にIOCの幹部が来られた時に、成立するということを胸を張って言うことができた」などと2020年のオリンピック・パラリンピックに向け喫緊の課題であったことをうかがわせた。