日本とアメリカ、それぞれの映画賞が評価したのは!?【春の日米アカデミー賞大特集・前篇】

第42回日本アカデミー賞は『万引き家族』が総なめ

1978年に第1回日本アカデミー賞授賞式が開催され今年で42回目を迎えた日本最大の映画賞。その年(12月16日から翌年の12月15日まで)に東京地区における商業映画劇場にて規定以上の期間、有料で初公開された作品を対象に優れた作品に優秀賞を授与。その中から部門の最優秀作品を決定する。今年は、第71回カンヌ国際映画祭で最高賞となるパルムドールを授賞した是枝裕和監督の『万引き家族』が前評判通り賞を総なめ。作品賞をはじめ監督賞、脚本賞など8部門で最優秀賞に輝いた。(撮影・星野雄飛)

https://thl.uh-oh.jp/wp-content/uploads/n02.jpg 1000w, https://thl.uh-oh.jp/wp-content/uploads/n02-600x400.jpg 600w, https://thl.uh-oh.jp/wp-content/uploads/n02-768x511.jpg 768w" sizes="(max-width: 1000px) 100vw, 1000px" />

最優秀主演女優賞に輝いた安藤サクラ

昨年『三度目の殺人』でも作品賞、監督賞、脚本賞、編集賞で最優秀賞を受賞していた是枝監督。今年はプレゼンターとして脚本賞、監督賞、作品賞と、そのたびに自身の受賞を気恥ずかしそうに発表し会場から笑いと拍手を送られる一幕も。また、最高賞となる最優秀作品賞のプレゼンターとして登壇していた是枝裕和監督は発表の前に衣装部門やヘアメイク部門の新設を提言し、賛同の拍手を送られた。

https://thl.uh-oh.jp/wp-content/uploads/n03.jpg 1000w, https://thl.uh-oh.jp/wp-content/uploads/n03-600x400.jpg 600w, https://thl.uh-oh.jp/wp-content/uploads/n03-768x511.jpg 768w" sizes="(max-width: 1000px) 100vw, 1000px" />

今年の司会は西田敏行と昨年、最優秀主演女優賞を獲得した蒼井優

俳優部門では、最優秀主演・助演男優賞を『孤狼の血』が、最優秀主演・助演女優賞を『万引き家族』がそれぞれダブル受賞。『Shall we ダンス?』『うなぎ』で連続受賞して以来21年ぶりに最優秀主演男優賞を受賞した役所広司は「かつて2年連続でこの賞を受賞して以来、頂いていなかったので、つくづく受賞するのが難しい賞なんだと思いました」と喜びを見せ、ロケを行った広島県呉市の災害復興を願った。最優秀助演男優賞は同じく松坂桃李が受賞した。『万引き家族』で最優秀主演女優賞に輝いたのは第39回に『百円の恋』で受賞して以来2度目となる安藤サクラ。第一子出産から間もない時期に行った撮影を振り返り、子育てと女優業の両立の難しさを語りつつ「こうして賞を頂き、自分の中できちんと気持ちに決着をつけて、映画の世界に戻ってきたいと思いました」と宣言。捜査官に問い詰められ涙をこぼす印象的なシーンについて安藤は「是枝監督がイジワルというか、台本にない質問を(捜査官役の池脇千鶴に)させたんです」と明かすと、是枝監督は「あのセリフは台本に無かったんですけど、安藤さんからリリーさんの役は“父ちゃん”と言っているけど私についてはどうなのかという問いがあってあのセリフを足した。安藤さんからの問いがなければあのシーンはなかった」と明かし受賞を称えた。最優秀助演女優賞は同じく『万引き家族』の故・樹木希林に贈られた。複数の部門で受賞し、そのつど“家族一丸”となってコメントし会場を盛り上げた『万引き家族』チーム。優秀主演男優賞のインタビューではリリー・フランキーが「さっき希林さんが来てるじゃんと思ったら細野晴臣さんだった」と同作で最優秀音楽賞を受賞した細野を引き合いにするなど、会場を笑わせた。

https://thl.uh-oh.jp/wp-content/uploads/n04-686x1030.jpg 686w, https://thl.uh-oh.jp/wp-content/uploads/n04-399x600.jpg 399w, https://thl.uh-oh.jp/wp-content/uploads/n04.jpg 699w" sizes="(max-width: 640px) 100vw, 640px" />

プレゼンターとして登場した広瀬すず

2018年の日本映画界をにぎわせ監督賞や作品賞でも優秀賞を受賞していた『カメラを止めるな!』は最優秀編集賞と話題賞を受賞。最優秀編集賞を受賞した上田慎一郎監督は「仲間でお金を出し合って7年前に買ったMac Proを使って、自宅でほぼ1人、まな板2枚分くらいのスペースで編集作業をしました」と振り返った。さらに話題賞を受賞し「お客さんに選んでいただく賞を受賞できて本当にうれしい。この作品の生みの親は僕たちかもしれないが育ての親はこの作品を応援してくださった皆さん。全員でこの賞を受け取りたい」と胸を張った。

https://thl.uh-oh.jp/wp-content/uploads/n05.jpg 1000w, https://thl.uh-oh.jp/wp-content/uploads/n05-600x400.jpg 600w, https://thl.uh-oh.jp/wp-content/uploads/n05-768x511.jpg 768w" sizes="auto, (max-width: 1000px) 100vw, 1000px" />

『万引き家族』で見事8冠を達成した是枝裕和監督

https://thl.uh-oh.jp/wp-content/uploads/n06.jpg 1000w, https://thl.uh-oh.jp/wp-content/uploads/n06-600x400.jpg 600w, https://thl.uh-oh.jp/wp-content/uploads/n06-768x511.jpg 768w" sizes="auto, (max-width: 1000px) 100vw, 1000px" />

話題賞を受賞した『カメラを止めるな!』チーム

https://thl.uh-oh.jp/wp-content/uploads/n07.jpg 1000w, https://thl.uh-oh.jp/wp-content/uploads/n07-600x400.jpg 600w, https://thl.uh-oh.jp/wp-content/uploads/n07-768x511.jpg 768w" sizes="auto, (max-width: 1000px) 100vw, 1000px" />

『うなぎ』以来21年ぶりに最優秀主演男優賞に輝いた役所広司

https://thl.uh-oh.jp/wp-content/uploads/n08.jpg 1000w, https://thl.uh-oh.jp/wp-content/uploads/n08-600x400.jpg 600w, https://thl.uh-oh.jp/wp-content/uploads/n08-768x511.jpg 768w" sizes="auto, (max-width: 1000px) 100vw, 1000px" />

いつになく暴走ぎみの西田敏行の司会っぷりに二宮和也もタジタジ
最優秀助演女優賞を獲得したのは『万引き家族』『日々是好日』で優秀助演女優賞を受賞していた樹木希林
【第42回日本アカデミー賞 受賞結果】
最優秀アニメーション作品賞:『未来のミライ』
最優秀音楽賞:細野晴臣(『万引き家族』)
最優秀撮影賞:近藤龍人(『万引き家族』)
最優秀照明賞:藤井勇(『万引き家族』)
最優秀美術賞:今村力(『孤狼の血』)
最優秀録音賞:浦田和治(『孤狼の血』)
優秀編集賞:上田慎一郎(カメラを止めるな!)
最優秀外国作品賞:『ボヘミアン・ラプソディ』(20世紀フォックス)
新人俳優賞:上白石萌歌(『羊と鋼の森』)、趣里(『生きてるだけで、愛。』)、平手友梨奈(『響-HIBIKI-』)、芳根京子(『累 −かさね−』『散り椿)、伊藤健太郎(『コーヒーが冷めないうちに』)、中川大志(『坂道のアポロン』『覚悟はいいかそこの女子。』)、成田凌(『スマホを落としただけなのに』『ビブリア古書堂の事件手帖』)、吉沢亮(『リバーズ・エッジ』)
協会特別賞:大塚康生(アニメーター)、金田正(映画スチールマン)、櫻井勉(プロデューサー)、千代田圭介(衣装)
会長功労賞:岡田茉莉子(俳優・プロデューサー)、岸恵子(俳優)、佐藤純爾(監督・脚本)、吉田喜重(監督・脚本)
会長特別賞:高畑勲(アニメーション監督)、星由里子(俳優)、津川雅彦(監督・俳優)、樹木希林(俳優)、吉田貞次(撮影)、黒澤満(プロデューサー)
話題賞:作品部門『カメラを止めるな!』、俳優部門:伊藤健太郎
最優秀主演男優賞:役所広司(『孤狼の血』)
最優秀主演女優賞:安藤サクラ(『万引き家族』)
最優秀助演男優賞:松坂桃李(『孤狼の血』)
最優秀助演女優賞:樹木希林(『万引き家族』)
最優秀脚本賞:是枝裕和(『万引き家族』)
最優秀監督賞:是枝裕和(『万引き家族』)
最優秀作品賞:是枝裕和(『万引き家族』)