次世代エコノミーに必要なものは? 早稲田大学で熱血トーク【BEYOND 2020 NEXT FORUM】
東京2020公認プログラム『BEYOND 2020 NEXT FORUM−日本を元気に! JAPAN MOVE UP!−』プロジェクトが本格始動
「2020年以降の日本の活性化」をテーマに世代や業界を越えて有識者らが集う「BEYOND 2020 NEXT FORUM ―日本を元気に!JAPAN MOVE UP!―」プロジェクトの第1回テーマセッション「次世代エコノミー」が4月12日、早稲田大学で開かれ講師として登壇した起業家と学生たちがについて意見を交わした。
【写真左から】ファシリテーターを務めた堀潤、主催・一木広治(株式会社ヘッドライン)、廣末紀之(ビットバンク株式会社代表取締役社長)、重松大輔(株式会社スペースマーケット代表取締役)、朝日透(早稲田大学理工学術院 教授)※敬称略
早稲田大学で公開授業を開催
2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックのレガシーを生かし、2020年以降の日本を元気にしていくために何が必要なのかを考えていく同プロジェクト。若手起業家や業界のオピニオンリーダーらが枠組みを超えて、ダイバーシティやイノベーション、スタートアップ、エンターテインメントなどさまざまなテーマを語り合う。2月26日にキックオフイベントが行われ、今回は「次世代エコノミーセッション」と題し、トークセッションが公開授業として開催された。
会場の早稲田大学早稲田キャンパスにはプロジェクトの賛同者や大学生など約150名が参加。最初にファシリテーターの堀潤が「今日は学生や社会人などいろいろな人が参加している。この教室から何か新しいものが生まれたら」と挨拶。授業を担当する早稲田大学理工学術院の朝日透教授は「新しいことに挑戦するような人材を育てたい」とコンセプトを説明した。このプロジェクトと連動する早稲田大学に新たな研究所「グローバル科学知融合研究所」を設立。研究所内にはテーマ別のラボである「SDGsフロンティアラボ」が開かれ、次世代エンターテインメント、次世代ライフサイエンス、次世代人材育成、次世代農業・食、次世代エコノミーの5分野で研究を進めていく。主催代表・早稲田大学研究院客員教授の一木広治は、今後大学生も参加できる、あらゆる分野の視点から新発想の研究を行うと語った。
続くトークセッションには、ビットバンク株式会社代表取締役社長の廣末紀之、株式会社スペースマーケット代表取締役の重松大輔が登壇。「2020年以降に向けた次世代エコノミー開拓の戦略」と題し、ブロックチェーンやシェアリングエコノミーなど次世代の仕組みについて議論が交わされた。まず、ブロックチェーンについては、国内最大の仮想通貨取引所を運営するビットバンク株式会社代表の廣末が解説。ブロックチェーンや仮想通貨と聞くと、なんとなく難解なイメージがあり、世に出て間もない2014年に仮想通貨取引所の不正流失問題があって以降、ネガティブな印象を持たれてきたと指摘。しかしながら、本来は透明性の高い仕組みで、偽の情報が横行するインターネットの世界において、正しい情報を証明できる唯一の技術だと価値を説明した。証券会社出身の廣末は、世間の認識が間違っている時こそが「買い」だと感じ、仮想通貨業界に参入したという。会場でも約5分の1の学生がすでに仮想通貨の取引経験があると回答するなど、注目度は高い。これからは事業者が社会にブロックチェーンの安全性や技術の高さを伝えていくべきだと語った。
続いて、シェアリングエコノミーについては株式会社スペースマーケット代表の重松が解説。大学時代にインターネットに出会い、誰でも発信できる仕組みに衝撃を受けたという。個人が中心となるビジネスをやりたいとの思いから、2014年に空きスペースを簡単に貸し借りできるレンタルサービス「スペースマーケット」を創業。UberやAirbnbのように個人が主体となってサービスを提供できる仕組みが台頭すると、時代の流れを読んだ。シェアリングエコノミーが広がった理由として、重松はスマートフォンの普及を挙げた。消費者がオンタイムで決済・連絡ができるようになったこと、またIDがSNSのアカウントになり、本人確認が容易になったことを紹介した。こうした利便性は、事業者側にしても立ち上げが早いなどのメリットがあるという。IT分野では、規制の少ない発展途上国のほうがより恩恵を受けやすい「リープフロッグ現象」が見られる点も紹介。ファシリテーターの堀はカンボジアの取材時、三輪タクシー・トゥクトゥクの配車アプリが一般的だったとのエピソードを明かし、会場の笑いを誘った。