映画『世界から希望が消えたなら。』 現代のヒーロー、御祖真の生き方はロック!?

 医師から余命宣告を受けた男が、自身の使命に目覚め、奇跡を起こしていく……。この秋一番の感動作『世界から希望が消えたなら。』から、主人公・御祖真(みおや・まこと)役の竹内久顕(ひさあき)と、その秘書・藤坂沙織役の千眼美子に話を聞いた。
左から竹内久顕、千眼美子(撮影:辰根東醐)
――まずは、マドリード国際映画祭外国語映画部門最優秀監督賞の受賞おめでとうございます。

竹内久顕(以下、竹内):スペインの現地時間である明け方4時に一報を受けて、みんなで雄叫びを上げました。ハラハラしてたんですけど、本当に「よかった〜」と喜んでいます。

――お2人の演じた役柄について教えてください。

竹内:御祖真はベストセラー作家で出版社を経営しているのですが、“救世主としてこの地上に生まれた”という隠された秘密があります。いろいろな葛藤があって本当にやるべきことができない中で、死を目前にして自分の使命に目覚めていく物語です。

千眼美子(以下、千眼):そんな真の秘書として、彼を心から尊敬して仕事をお手伝いしたいと思い、ひと筋についていく芯の強い女性を演じています。

――それぞれの役作りはどのようにされましたか。

竹内:さまざまな偉人伝を読みました。偉人伝に共通したのは、死や絶望に向かい合った時に絶対にあきらめず大事なものを選び取っていることです。偉人はどんな時代や状況下でも正しさを求め、自分ではなくより多くの人のために道を選択する。そのエッセンスを私なりに抽出して真に集めています。意外なところでは『アベンジャーズ』や『スパイダーマン』などのヒーローものも参考にしました(笑)。

千眼:私は「お取り込み中でしたでしょうか」とか言ったことがなくて(笑)。普段から丁寧な言葉遣いを自然にしている役なので、言い方や動作のタイミングを事務所でマネジャーさんと再現するなどして、形から入っていった感じです。最初はつかめていなかったんですけど、現場で竹内さんが真として立ってくださっていたので、この人についていきたいという気持ちで役柄が固まっていきました。

――今回が初主演の竹内さん、撮影を終えた感想は?

竹内:総合プロデューサーも務めていたので、プロデューサーの自分と俳優の自分との同時並行の苦しみを初めて味わいました。クランクインまで1年間の準備期間があり、いままで演技経験がなかったので、20歳くらいの子に混じってレッスンしましたが、恥ずかしかったですね(笑)。

――見どころや注目の場面を教えてください。

竹内:真が復活するシーンで、「まだ生きている」という言葉だけで意識が切り替わっていくんですね。偉人と呼ばれる人は、自分の意志で道を切り開いていきます。「まだ生きている」という言葉には、自分が生きていると確認した時に、「まだ使命があってやるべきことがあるから絶対死なない、死ぬはずがない」という確信があるんです。

千眼:絶望の淵に立たされた時って、残りの時間を絶望に埋もれながら終えてしまいがちだと思うんです。真は多くの人への愛ゆえに生きていく意志や信じる心を発揮したところが、すごく格好いいしめちゃくちゃロックだなと(笑)。生き方が勇気と愛に溢れていて、自分が持っている命や時間をすべて人のために使っている姿が最高に格好いいので、「この人格好いい!」って一緒にフィーバーしてほしいです。
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